スペインGP予選、ポールポジションを獲得したのは、現在3連勝中のルイス・ハミルトン、2番手にもチームメイトのニコ・ロズベルグが続き、メルセデスAMGがフロントロウを独占しました。
彼ら、特にハミルトンが3番手のダニエル・リカルド(レッドブル)に付けた差は約1秒。前回の中国GPでハミルトンがリカルドに付けた差が0.5秒でしたから、その差はここに来て開いてしまっている印象です。より詳しく計算すると、メルセデスAMGとレッドブルのパフォーマンス差は1.47%。66周レースを走った際、ギリギリ周回後れにならずに済む(ハミルトンがチェッカーを受ける際、リカルドはその140m程度前を走っているという計算)というほどの差です。決勝でその計算通りになるとは言い切れませんが、そのくらい大きな性能差があるということは事実。金曜日のフリー走行3回目でハミルトンが行ったロングランのペースも高値安定しており、死角は見当たりません。トラブルやアクシデントが無い限り、メルセデスAMGの1-2フィニッシュの可能性は非常に高いです。
では、3番手以降の争いに目を転じてみましょう。3番グリッドは前出のリカルドですが、その横4番手にはウイリアムズのバルテリ・ボッタスが並びました。ウイリアムズはここまで抜群のスタートを決めることが多く、今回もそんなロケットスタートが見られるかどうかがまず最初の注目点です。しかもバルセロナはスタート位置から1コーナーまでの距離が長く、直線速度に勝るウイリアムズ有利。1コーナーに先に飛び込むのは、ボッタスである可能性が高いように思えます。“スタート直後の1コーナーでひとつでも前のポジションに出る”というのは、ここスペインでは非常に重要。なぜなら、オーバーテイクが非常に難しいサーキットだからです。過去10年のスペインGPのうち8回がポール・トゥ・ウインという事実からも、それが分かります。
躍進著しいロータスのロマン・グロージャンが5番手スタート。その後方からは2台のフェラーリが追う展開になります。フリー走行3回目の結果を見ると、フェラーリの方がロータスよりもレースペースは速そうです。キミ・ライコネンとフェルナンド・アロンソが上位進出するためには、スタートでグロージャンの前に出ることができるか……という点が鍵となりそう。もしグロージャンを抜くことができなければ、前を抑えられてしまい、先行車との差が開いてしまうことになるはずです。この集団には8番手スタートのジェンソン・バトンも加わってくるでしょう。
予選でミスがあり、9番グリッドとなってしまったもう一台のウイリアムズ、フェリペ・マッサは、先行するグロージャン~バトンよりもレースペースは1~1.5秒ほど速そうです。スタートが最重要であることに違いはありませんが、直線スピードを活かしてオーバーテイクを見せ、順位を上げていく可能性もあります。一方、トラブルによりQ3ストップ、10番グリッドに留まったセバスチャン・ベッテルは、ラップタイムこそ速いものの最高速は低調であり、オーバーテイクは難しいと考えられます。
今回のグランプリでもうひとつ重要な要素があります。それは、タイヤの使い方。今回のレースにピレリはミディアムタイヤとハードタイヤを持ち込んでいますが、どちらもデグラデーションは非常に小さくなっています。しかし、ミディアムタイヤを履いた方がハードタイヤ装着時より、0.8~1.5秒程度速くなっています。さらに、ハードタイヤは硬すぎるようで、温めに苦労してグリップを発揮できず、マシンが横滑りすることで摩耗が早まるという現象も起こっている様子。これらの点から判断するに、ハードタイヤを履く周回数をいかに少なくするかという点が、ライバルに打ち勝つために必要になってきそうです。なおピレリは、各車3回のピットストップを予測しています。
欧州ラウンド開幕戦スペインGP。メルセデスAMGの速さが目立つことはまず間違いですが、その後方でも様々な争いが繰り広げられそうです。注目のスペインGP決勝は、5月11日(日)21時(日本時間)スタートです。なお、F1速報/AUTOSPORTwebでは、決勝スタート約1時間前に、天候も含めた現地の最新情報をお届けする予定です。こちらも併せてチェックしてみてください。
(F1速報)