2014年のF1世界選手権は、3週間のインターバルを経て、スペインはバルセロナにやって参りました。欧州ラウンドの幕開けです。本拠地にも近付くため、ここから各チームはマシンのアップデートを積極的に投入してくるはず。真の開幕戦とも言えるかもしれません。
さて、今回のスペインGPは一体誰が勝つのでしょうか? ここまで圧倒的な強さを見せつけてきたメルセデスAMGが、今回もその強さを続けるのでしょうか? フリー走行2回目の結果を検証し、決勝レースの結果を予測してみることにしましょう。
フリー走行2回目でトップタイムをマークしたのは、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンでした。2位も同じくメルセデスAMGのニコ・ロズベルグ。この結果を見る限り、今回もメルセデスの優位は揺るぎそうにありません。ただ、決勝レースで重要なのは、1発の速さではなく、ロングランのペース。この点で見ると……それでもやはりメルセデスAMG、特にハミルトンの速さは目立っていました。ハミルトンはミディアムタイヤ(今回持ち込まれたタイヤはミディアムとハード)で19周の連続走行を行いましたが、1分30秒台後半~31秒台で走行し、頭ひとつ抜け出た速さを見せました。つまり、マレーシアGPから続いている連勝記録を4に伸ばす可能性は非常に高いと言えそうです。
ハミルトンに続いて注目したいのが、ウイリアムズのフェリペ・マッサです。最速タイムの順位こそ8番手と平凡なものですが、ミディアムタイヤでの8周の連続走行では、1分31秒台の周回をキレイに並べています。ハミルトンには1周あたり0.5秒ほど及びませんが、それでも全体を見渡せば2番目に速かったドライバーと言えそうです。なお、マッサはハードタイヤでも14周のロングランを実施。こちらは1分32秒台後半~33秒台で走行していました。
もちろん、ハミルトンのチームメイト、ロズベルグのロングランペースも高いレベルのモノでした。ただし、ハミルトンに比べると、タイムが安定していなかったのが気になります。ロングラン時の最速タイムこそハミルトンに遜色ないものでしたが、1分32秒台や33秒台に落ちてしまう周回も多く……。このペースダウンがコース上の混雑の影響ならばいいのですが、何か他の要因によるものであり、レースでも同様のペースダウンを強いられてしまうことになれば、ハミルトンには敵わないでしょう。
レッドブルのダニエル・リカルドのペースも注目に値します。リカルドのペースは1分31秒台後半~32秒台前半。メルセデスAMGからは約1秒、マッサからは約0.5秒遅れた4番目でしょう。ここサーキット・デ・カタルニアは、今季これまで開催されたサーキットに比べて、空力性能が重視されるサーキット。エイドリアン・ニューエイの手による、RB10の真価が発揮されているようです。
ただし気になるのはチームメイトのセバスチャン・ベッテル。今回からモノコックをテスト時に使っていたものに戻していますが、フリー走行1回目で発生した電気系のトラブルにより、フリー走行2回目を全く走ることができませんでした。今季ここまで不調のベッテル、今回こそ復調できるのでしょうか?
もうひとり、特に注目したいドライバーがいます。母国凱旋となる、フェラーリのフェルナンド・アロンソです。フェラーリはフリー走行2回目で、アロンソにはハードタイヤ、キミ・ライコネンにはミディアムタイヤを履かせてロングランを実施しました。今回のミディアムタイヤとハードタイヤのタイム差は、マシンによって少々異なりますが、0.8~1.5秒程度と思われます。にも関わらず、ハードタイヤを履くアロンソのペースは、ミディアムのライコネンより0.2~0.5秒程度遅いだけ。ミディアムタイヤを履けば、マッサと同等かそれ以上のペースで走ることができるかもしれません。となれば、真の2番手はアロンソなのかもしれません。
その後方をフォースインディア、マクラーレン、そしてロータスが争うという展開になると思われます。マクラーレンはリザルト上では5、6番手でしたが、ロングランのペースは低調。仮に予選で上位グリッドを確保しても、厳しいレースになりそうに見えます。なお、今回のグランプリでは、ハード、ミディアム共にデグラデーション(性能劣化によるタイムへの影響)はほとんど無いと言って差し支えないと思います。
中高速コーナーが存在するため、ダウンフォースの高さが求められるスペインGP。開幕4戦よりも“メルセデス製パワーユニット搭載”の優位性は薄れるはずです。しかしそれでも、メルセデスAMGの強さは継続。この強さは、今後しばらく続くでしょう。しかし、2番手争いはますます熾烈。今回はウイリアムズ、レッドブル、フェラーリが僅差で争うことになりそうです。まずは本日夜に行われる予選に注目しましょう。
(F1速報)