2014年05月09日 21:00 弁護士ドットコム
小保方晴子ユニットリーダーの再調査は必要なし――。理化学研究所の調査委員会は、STAP細胞の論文をめぐる研究不正について、小保方リーダーの不服申立てを「門前払い」する決定をくだした。調査委員会の渡部惇委員長は5月8日の記者会見で「弁明の機会は十分に与えられた」と話したが、本当にそうなのだろうか。
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理研の調査委が「再調査は不要」と判断したことに対して、疑問を感じている人は多いようだ。Yahoo!ニュースが「再調査しない決定に納得ですか?」というアンケート調査を実施したところ、約7万人の回答者のうち63.6%が「納得できない」と回答している(5月9日19時現在)。
また、9日朝に放送されたテレビ朝日系の情報番組で、予備校講師の林修氏は「調査委員会のメンバーは変わっていない。だとすれば、『最初に出した結論は変えない』という方向で最初から動いているという感じがしてしまうし、どうしても『小保方さん一人を切り捨てたい』というように見えてしまう」と指摘していた。
STAP細胞の論文をめぐり「研究不正があった」と認定した理研調査委に対して、小保方リーダー側は不服申立書のなかで、「聴取が不十分であった」「反論の機会を十分に与えることなくなされた」と指摘し、再調査の必要性を訴えていた。小保方リーダー自身も、4月9日の記者会見で「十分な聞き取りをしていただいたという認識は、私にはない」と発言している。
しかし、今回の不服申立ての審査で、小保方リーダーに対するヒアリングは実施されなかった。
理研調査委の報告書によると、調査委から小保方リーダー側に対して4月27日、ヒアリングについての打診がおこなわれたようだ。だが、ヒアリングの候補日として指定されたのは、「翌日の4月28日か、翌々日の29日のどちらか」という唐突なものだった。
4月27日といえば、ゴールデンウイーク中の日曜日。その日に打診して、直後のわずか2日間を実施の候補日として指定したのだ。これに対して、小保方リーダー側は「不服申立者(小保方リーダー)の体調からして1週間程度の猶予が必要」と回答したというが、その要望は聞き入れられなかった。
こうした点について、理研調査委の渡部委員長は「ヒアリングそのものはおこなっていないが、こちらから資料の提出を要望しているし、不服申立者から説明資料や陳述書の提出も受けている。私どもとしては、弁明の機会は十分与えられたものと理解している」と説明した。
一方で、小保方リーダーの代理人をつとめる三木秀夫弁護士は、「調査過程並びに調査報告書における数々の調査不備と事実誤認について、私どもが指摘をさせて頂いたにもかかわらず、このような拙速で粗雑な扱いには、深い失望と怒りを感じます」というコメントを発表している。
渡部氏と三木氏はともに弁護士だ。今後、小保方リーダーが解雇処分を受けることになれば、争いは「法廷」に持ち込まれる可能性も十分にあると見られているが、そこで両者が対決することになるのだろうか。
調査委員会の動きに対して疑問を口にした林修氏は「法廷闘争をすればいいのでは? 第三者にもう一回、客観的に審判を下してもらう方向でいいのではないか」と番組でコメントしている。
(弁護士ドットコム トピックス)