2014年05月08日 15:40 弁護士ドットコム
子どもの出産は多くの人にとっておめでたい出来事だが、その一方で、多額の出産費用に頭を悩ませている夫婦もいるのではないか。出産前後の検診費用やマタニティ用品など、出産以外の費用のことも考えれば、妻が妊娠したからといって喜んでばかりもいられない。
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実は、出産については、公的な補助制度がいろいろある。これらを利用すると、出産に関する出費をかなり減らせるようだ。具体的には、どんな制度があるのだろう。税理士の河原大輔氏に聞いた。
「出産は病気やケガでないため、健康保険が使えません。そのために、たくさんのお金が必要になります。また、働く女性は、妊娠中に仕事ができなくなるため、収入が少なくなるでしょう」
河原税理士はこのように話す。そこで、「出産のための補助制度があります」という。
「とくに知っておいたほうが良いのは、(1)出産手当金(2)出産育児一時金(3)出産費貸付制度(4)産科医療補償制度の4つです」
まず、「出産手当金」とは?
「出産手当金は、働いている女性に対して、健康保険から支給される手当です。
出産のため労働できなかった期間について支給されます。支給を受けられる期間は、通常、出産日前の42日と出産日後の56日までの98日間が対象です。
支給される金額は、月給を30日で割った金額の3分の2に相当する額が支給されます。たとえば、給与が月額20万円の場合、1日分の金額はおよそ4444円になります」
2番目の「出産育児一時金」は、どんな制度なのだろうか。
「赤ちゃん1人の出産につき、42万円が健康保険から支給されます。加入している健康保険組合によっては付加給付があります。なお、産科医療補償制度未加入の分娩機関で出産した場合などは、39万円となることもあります」
3番目の「出産費貸付制度」とは何だろうか?
「出産育児一時金の80%、つまり33万円を限度として、出産日の1月前から無利息で出産費用を借りることができる制度です。出産費用の支払いが困難な場合に、利用を検討すると良いでしょう」
最後の「産科医療補償制度」とは?
「産科医療補償制度に加入している病院などで出産した赤ちゃんに、重度脳性麻痺の障害があり、一定の基準を満たせば、一時金として600万円、その後20年にわたり年間120万円が補償されます」
このように河原税理士は、出産についての4つの補助制度を紹介してくれた。いずれも大きな金額が補助されるため、出産を控えている人は、事前にしっかりと確認したほうが良いだろう。
【取材協力税理士】
河原 大輔(かわら・だいすけ)
税理士・行政書士・MBA。慶応義塾大学経済学部卒業後、一部上場企業勤務を経て税理士登録。経済産業大臣認定経営革新等支援機関として補助金申請・事業再生・事業承継支援に取組む。
事務所名 :河原会計事務所
事務所URL:http://www.keiei-kanri.com
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