トップへ

ネット通販で注文した「母の日ギフト」 もし指定日に届かなかったら?

2014年05月07日 18:01  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

母の日が近づいてきた。モバイルコンテンツの作成などを手がけるビジュアルワークスが女子中高生を対象に実施したアンケートによると、回答した人の44%が、母の日のプレゼントを「毎年あげている」と答えたという。今年もプレゼントを贈ろうと準備している人は多いだろう。


【関連記事:もし痴漢に間違われたら「駅事務室には行くな」 弁護士が教える実践的「防御法」】



最近はオンラインショップの充実で、ネットでプレゼントを買う人も増えているが、店側のミスが重なれば台なしになってしまう。Q&Aサイトには「日にちを指定したはずが、全く違う日に届いた」といったトラブルも報告されている。母の日のプレゼントは、当日までに届くことが何よりも重要なのだが・・・。



数日遅れで届いたプレゼントほど寂しいものはないが、商品が指定した日に届かなかった場合、利用者はどうすればよいのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。



●母の日ギフトは「定期行為」にあたる?


「たとえば、花屋さんが『母の日ギフト』と銘打って花を売っているような場合、『母の日』に届かなければ、購入した人はその花を買った目的を達することができないでしょうね」



このように秋山弁護士は切り出した。



「一般的に、契約の性質や当事者の意思表示によって、特定の日時や一定の期間内に履行されなければ、契約の目的を達成できない行為を『定期行為』といいます。



定期行為の場合、当事者の一方が履行しないで、その時期を経過したとき、相手方は、催告(催促)をすることなく、ただちにその契約を解除できます(民法542条)」



つまり、プレゼントが母の日になっても届かなければ、購入者は契約を解除(キャンセル)して、代金の返還を求めることができるというわけだ。



「『母の日ギフト』と銘打っている商品の購入契約は、定期行為にあたる可能性が高いといえます。さらに、『必ず母の日までに届けてください』と念押しをしておけば、確実に定期行為となります」



このように秋山弁護士はアドバイスする。ただし、キャンセルしたら、遅れて届いた品物は返却する必要があるので、注意が必要だ。



●慰謝料は認められるとしても多くない


だが、「母の日ギフト」だからといって、常に定期行為になるわけではない。



「たとえば、『運送事情によって、母の日までに配達が間に合わないことがありますが、よろしいですか』といった説明をショップから受けたとします。それでも契約をした場合は『定期行為』と言えなくなってしまう可能性が高いですね」



では、『母の日』当日にプレゼントが届かなかった購入者は、キャンセルするだけでなく、損害賠償を求めることもできるのだろうか?



「損害賠償として慰謝料を請求することも考えられますが、認められたとしても少額だと思います」



このように秋山弁護士は話していた。ネット通販という便利なサービスがあるものの、どうしても母の日にプレゼントしたいなら、自分の手で買った贈り物を直接手渡しするのが一番といえるのかもしれない。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
秋山 直人(あきやま・なおと)弁護士
東京大学法学部卒業。2001年に弁護士登録。所属事務所は溜池山王にあり、弁護士3名で構成。交通事故等の各種損害賠償請求、企業法務、債務整理、契約紛争、離婚・相続、不動産関連、労働事件、消費者問題等を取り扱っている。
事務所名:たつき総合法律事務所
事務所URL:http://tatsuki-law.org/index.html