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消費者問題「被害者リスト」を地域で共有? 「消費者安全法」改正案にリスクはないか

2014年04月29日 12:20  弁護士ドットコム

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詐欺的な手法で不当に高い商品を売りつけられる消費者被害。消費者庁の推計によると、昨年1年間の被害総額は約6兆円にのぼる。とくに、65歳以上の高齢者の被害が深刻化しており、同じ人が何度も繰り返し狙われる「二次被害」のケースも目立っている。


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こうした状況を受けて政府は、国・自治体と地域間の「情報共有」をすすめるため、消費者安全法の改正案を国会に提出した。



法律が成立・施行されれば、地域密着型の組織である「消費者安全確保地域協議会」を、自治体などが設置できるようになる。地域協議会は警察のほか、病院や教育機関、民間団体などで構成され、自治体や消費生活センターなどと情報を共有しながら、「特に配慮を要する消費者」を見守る。



また、国が「特に配慮を要する購入者」に関する情報を自治体に提供し、地域協議会の中で共有できるようにする。こうした情報の中には、過去に消費者被害にあった人のリストも含まれる可能性があるという。



地域協議会のメンバーには守秘義務が課されるということだが、情報共有の仕方によってはプライバシー面での懸念もある。今回の対策について、弁護士はどう見ているのだろうか。消費者問題にくわしい高木篤夫弁護士に聞いた。



●「消費者被害の防止に役立つ」


「高齢者の二次被害を防止するためには、次の3点が重要となってきます。



(1)言葉たくみに近づく事業者の勧誘を、周囲の人々が察知すること



(2)不適切な契約にいたらないように、適切に助言すること



(3)被害を早期に発見すること」



高木弁護士は3つのポイントをあげ、次のように効果を期待する。



「被害を防ぐためには、こうした日常的な見守りや、気楽に相談ができる相手を作ることが重要です。そのような観点からすれば、この対策は消費者被害の防止に役立つと考えます」



●適切な「漏洩防止措置」が必要


効果は期待できるということだが、プライバシーへの配慮はどうだろうか。



「個人の被害情報が共有されることになるので、その漏洩のリスクも考える必要があります。



ただ、配布先の範囲を限定し、その取り扱いについて適切な漏洩防止措置をとって、リスクを最小限に抑えた対策を実施していけば、被害減少のメリットのほうが大きいと思われます。



もちろん法施行後には、効果の検証と検証結果による情報管理の見直しも必要となってきます」



高木弁護士はこのような見解を述べていた。



法案はいま、国会で審議中だ。情報共有の具体的な運用についても、しっかりと議論されることが望まれる。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
高木 篤夫(たかぎ・あつお)弁護士
東京弁護士会消費者問題特別委員会委員、日本弁護士連合会消費者問題対策委員、東京都消費生活総合センターアドバイザー等、各種消費者被害対策弁護団
著書:電子商取引法(共著)、消費者相談マニュアル(共著)、ネット被害の消費者相談(共著)ほか多数
事務所名:ひかり総合法律事務所
事務所URL:http://www.hikari-law.com/J/firm/index.php