日産自動車/ニスモは28日、6月21日~22日に、ドイツ・ニュルブルクリンクで開催される2014年ニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦体制を発表した。ニッサンGTアカデミー・チームRJNから2台、シュルツ・モータースポーツからは1台のニッサンGT-RニスモGT3が参戦する。
プロからアマチュアまで200台以上のレーシングカーが参加し、全長20km超の過酷なニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)を一昼夜に渡って戦うニュル24時間。レース中に天候が急変したり、タイトなコースではクラッシュも多発するなど厳しいレースが展開され、一方で30万人以上もの観衆を集めるなど近年世界的に大きな注目を集めているレースだ。
総合優勝を争うGT3カーによるカテゴリーであるSP9クラスには、アウディやBMW、メルセデスベンツ、ポルシェの強豪が揃うほか、イギリスからアストンマーチン等も参戦する。日本からはここ数年、レクサスLFAで参戦するGAZOO Racingや、WRX STIで参戦するスバルなど多くのワークス格のエントリーがあるが、SP9への参戦ではなかった。しかし、今季はそこに日本とヨーロッパから多くの強豪ドライバーを揃え、ニッサンがワークス格のチーム、ドライバーとともにSP9クラスに挑戦する。
ニッサン勢ではここ数年、『グランツーリスモ』シリーズのプロデューサーである山内一典氏を擁しシュルツ・モータースポーツが参戦。市販のニッサンGT-Rの開発の舞台となったニュルで、昨年はニッサンGT-RニスモGT3を導入。予選上位につけていた。
今季は、ブランパン耐久シリーズ等でニッサンのワークス格として活躍するニッサンGTアカデミー・チームRJNがから2台のニッサンGT-RニスモGT3が参戦。1台は、『グランツーリスモ』とニッサンが進めるドライバー育成プログラム、GTアカデミー出身のルーカス・オルドネス、フロリアン・シュトラウスというふたりに、アレックス・バンコム、さらに元F1ドライバーのニック・ハイドフェルドが加わる豪華メンバーが決定した。
またもう1台は、ニスモ30周年を記念し、日本の誇るGT-R使いたちが乗り込むことが決定。スーパーGTで活躍するミハエル・クルム、星野一樹というふたりに加え、今季ブランパン耐久でRJNから参戦する千代勝正、そしてニュルで豊富な経験をもつ田中哲也という4人が組むことになった。こちらの1台はエントリーはRJNだが、日本からニスモが遠征しオペレーションすることになるという。
「このプロジェクトの一員になれたことを誇りに思います。ノルドシュライフェを初めて走ったその日から、ニュル24時間レース制覇は自分の夢であり、トップカテゴリーで戦うチャンスをずっと夢みていました」と語るのは星野。また、千代も「自分自身にとっては大きな挑戦になりますが、このために今年に入ってから何度もニュルでトレーニングをしてきているので、その練習の成果と、マレーシア、バサースト、ブランパンの経験を生かして、チームの勝利のために全力を尽くして頑張りたいと思います」と気合が入っている様子。
また、市販車のニッサンGT-Rニスモの開発を担っていた田中は、「今回はトップカテゴリーであるGT3車両での参戦で、常に上位争いができると思いますので、楽しみです。チームメイトとは旧知の仲ですし、RJNとも何度も24時間レースを一緒に戦っていますので体制も万全です」と自信をみせる。一方、クルムも「トップを目指して戦いに挑む機会が与えられることで、今年のレースはとても特別なものになります。このチャンスを何年も待っていましたし、絶好の位置につけているように思います」という。
クルムをはじめ4人のドライバーが語る通り、今回のRJNの2台の参戦体制は、まさに総合優勝を狙えるものだ。ここ数年、日本からも多くのエントラントがニュル24時間に挑んできたが、総合優勝を狙えるSP9クラスへの日本勢の参戦は近年では初。特に、ニスモ主導の30周年車は大いに期待をかけたいところ。26日に行われたVLNニュル耐久シリーズでは、オルドネスらが組んだGT-Rがポールポジションを獲得しており、速さの面で実力はすでに実証済みだ。
なお、3台目のGT-Rとなるシュルツ・モータースポーツの車両からは、グランツーリスモプロデューサーの山内に加え、GTアカデミー出身のジョルダン・トレッソンの参戦が決定。今季も『GT』カラーのGT-Rとなりそうだ。