アラバマ州バーバー・モータースポーツパークで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズ第3戦は、ライアン・ハンター-レイが昨年に引き続き勝利を挙げた。2位にはマルコ・アンドレッティが入り、アンドレッティ・オートスポートが1-2フィニッシュ。佐藤琢磨(AJフォイト)は、13位でレースを終えた。
ライアン・ハンター-レイが予選3番手から今季初勝利をホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマで飾った。バーバー・モータースポーツパークでの2年連続優勝だ。
ファイナルプラクティスが行われた後にバーミンガムを襲った集中豪雨のため、レースは2時間半もスタートが遅れ、ウエットコンディションで始まった。90周のレースは、2時間経過時点での周回でゴールとなるタイムレースに切り替えられた。
スタートではポールシッターのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がトップをキープ。2番手の座はアンドレッティ・オートスポートのふたり、予選2番手だったジェイムズ・ヒンチクリフと予選3番手だったハンター-レイの間で争われた。
1周目にして14番手スタートだった佐藤琢磨がキンクでスピン、そしてエンジンストール。最初のフルコースコーションが出された。琢磨は幸いにも周回遅れに陥ることなくレースに復帰した。
3周目のリスタートでハンター-レイはヒンチくリフをパス。パワーを追う2番手に順位を上げた。しかし、レース序盤のウエットタイヤ装着でのパワーのスピードは他を寄せ付けないもので、10周目には差を5秒以上に広げていた。
ところが15周目、ターン5へのアプローチでパワーはブレーキをミス。グラベルを横切り、タイヤバリアをギリギリかすめてコースに復帰すると、ハンター-レイに4秒以上の差を逆につけられ2番手へと後退してしまった。
21周目、予選11番手から7番手まで順位を上げて奮闘していたルーキー、ミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン)にセバスチャン・ブルデー(KVSH)が追突。ロシア人ルーキーはスピンし、ヘアピン内側の縁石に乗り上げてストップしてしまった。
これで今日二度目のフルコースコーションとなり、ほぼ全車がピットインして給油とレッドタイヤへのタイヤ交換を行った。セイフティクルーの到着が遅かったこともあり、哀れアレシンは好走空しくここで周回遅れとなってしまった。今年はペナルティを多発しないと発表しているインディカーのレースコントロールだが、さすがに今日のブルデーにはペナルティが課せられた。
たったひとり、ウエット・タイヤのまま、ここでピットストップをせずに走り続けたのがセバスチャン・サーベドラ(KV/AFS)。彼は11周に渡ってトップを走行した。どの道、給油を行うためのピットストップでトップを明け渡さねばならない状況にあったサーベドラを、ハンター-レイは34周目のリスタートでパスした。
レッドタイヤでの、まだ完全に乾き切っていない路面での戦いでは、ハンター-レイと、彼のチームメイトのマルコ・アンドレッティが奮闘を見せた。ハンター-レイは悠々とトップを守り続け、アンドレッティは久しぶりに彼らしいアグレッシブで、スリリングな走りを展開。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)とパワー、ふたりの大物をパスして2番手へと浮上。チームメイトを追った。
しかし、66周目にアレシンがクラッシュ。タイヤバリアに激しく突っ込んでストップ。この時点でレースはもう6分しか残されておらず、コースの清掃を時間内に終わらせることは不可能だった。ペースカー先導で周回は重ねられ、69周をもってゴール。イエローフラッグとチェッカーフラッグが同時に振られ、ハンター-レイが今季初勝利を飾った。
アンドレッティ・オートスポートが1-2フィニッシュ。それは即ちホンダの初優勝、そして1-2フィニッシュとなった。3位にはディクソンが入った。
惜しくも表彰台を逃す4位でゴールしたのはサイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)。5位は序盤のみ速かったパワーが手にした。
琢磨は一端最後尾まで下がったが、しぶとく走り続けて13位でゴールした。常設ロードコースサーキットでの彼らのマシンは、開幕前のテストでのパフォーマンスとは裏腹に、競争力が低いものとなっていた。プラクティスから決勝まで、今年のバーバー・モータースポーツパークでの琢磨とAJフォイトはトップ争いを行うレベルに到達することはなかった。エンジニアリングの早急な建て直しが必要だ。
3レースを終えてのポイントスタンディングは、トップがパワー(125点)で、2位はハンター-レイ(107点)、3位パジェノー(92点)、4位ディクソン(87点)、5位マイク・コンウェイ(エド・カーペンター・レーシング)(82点)となっている。