「ティファニーのヨーグルト」を食べるために、あなたはいくらお金を出すだろうか-。
消費者が、ある食材のトップブランドを指名買いするとき、それは、内容そのものに価値を見い出すよりも、“高級”というイメージに対価を払っているのではないか?そんな命題を追及した結果、生まれたアートがイスラエル人デザイナーpeddy merguiさんによる、作品シリーズ「Wheat is Wheat is Wheat(小麦は1にも2にも小麦である)」。
ブランドデザインの第一線で20年以上に渡り活躍し、常識を覆すコンセプトデザインで、視覚に訴えかける数々の購買アプローチを生み出してきたpeddy merguiさん。こちらの作品シリーズは、スーパーマーケットでお手軽に買える食品に、あえて有名ブランドを象徴するパッケージデザインを施し、ブランドデザインにおいて消費者心理をつかみ、利益を生み出すことを求められるデザイナーが避けては通れない“命題”を強調するために私的に制作された。
そのラインナップたるや、シャネルの粉ミルク、ルイ・ヴィトンのサラミ、ティファニーのヨーグルト、グッチのピクルス缶、Apple社の牛乳(iMilk by Apple)、エルメスのソルト&ペッパー、ナイキのフルーツケース、プラダの小麦粉、ヴェルサーチのイースターエッグ、カルティエのコーヒー豆、バーバリーのカップ麺など、そうそうたる顔ぶれ。名声と贅沢の象徴とも言えるブランドを、私たちに身近な商品のパッケージに落とし込むことで、消費活動の中でデザインが与える大きな影響と、そのイメージが往々にして危うげな倫理観であることをユーモラスかつ挑発的に訴えかける。
「Wheat is Wheat is Wheat」は、現在、カリフォルニア州サンフランシスコ「クラフトとデザインの博物館」で6月15日まで開催中。あこがれのブランドロゴも、食品パッケージになると、より敷居が低く手に入れたくなる!?
アメリカ旅行の際、実物を見て感情の動きを検証するのも有意義だし、普段スーパーマーケットで食品を選ぶとき、一歩立ち止まり、デザインが購買意欲に与える影響について考えるよい機会となりそうだ。
peddymergui
http://www.peddymergui.com/