中国GPでチェッカーフラッグがレースが終わる1周前に提示されるというミスが発生したが、ドイツメディアがその背景について伝えている。
56周のレースの55周を終えた時点、つまり本来より1周早く、トップを走るルイス・ハミルトンに対してチェッカーフラッグが振られた。
F1のスポーティングレギュレーション43.2条には、「いかなる理由であれ先頭の車両が所定の周回数を完走する前、または規定の時間が経過する前にレース終了の合図が出された場合は、先頭車両がその合図が出る前に最後にラインを横切った時点でレースが終了したものとみなされる」と定められている。
つまり、中国GPのケースではハミルトンが54周を走りきった時点でレースが終了したとみなされることになった。
このアクシデントにより、チェッカー直前に行った小林可夢偉のオーバーテイクは無効となり、順位が17位から18位に変更されることになった。
この極めて珍しいミスがどのようにして起きたのか、ドイツのAuto Motor und Sportは次のように説明している。
ハミルトンは、56周レースの55周終わりにチェッカーフラッグを受けた。驚いた彼は一瞬ペースを緩めたが、チームからプッシュし続けるよう指示されている。
チェッカーフラッグを担当するオフィシャルはすぐに間違いに気づいてフラッグを引っ込めたため、2位以下のドライバーたちはフラッグを受けていないという。そのオフィシャルの名前は明らかにされていないが、中国自動車クラブのメンバーだということだ。
このミスは無線における誤解によって起きたとAuto Motor und Sportは報じている。
レース終盤、中国のレースディレクターのチョアン・タオはFIAのレースディレクター、チャーリー・ホワイティングに対し、最終ラップに入ることをドライバーたちに知らせる必要があるかどうかを問い合わせた。ホワイティングはそれは必要ないと答え、タオはフラッグマンにその旨を伝えたが、その過程で誤解が生じたと考えられている。同誌は、おそらく「今、フラッグは必要ない」の「ない」の部分が聞こえなかったというようなことによって混乱が生じたのではないかと記している。