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受信料を「前払い」したのに、NHKが消費税アップの「差額」を徴収!そんなのアリ?

2014年04月11日 17:20  弁護士ドットコム

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4月から8%にアップした消費税。増税前にいろいろ買い物をした人たちは、4月からしばらく財布のヒモを固くしていることだろう。そんななか、NHKの「増税対応」が注目を集めている。4月以降の受信料を「前払い」していた人たちに対して、「増税分の差額」を請求すると発表したのだ。


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ネットの掲示板では、「前払いしてるのに後から請求するとかこんなのありか?」「これが通るなら定期券の類は全部後から上乗せできることになるぞ」など、疑問の声がわきおこっている。



たしかに、鉄道の定期券は増税前に購入したものがそのまま使用できて、「増税分の差額」が後から請求されることはないようだ。増税直前の3月末に、駆け込み需要で定期券の購入窓口が大混雑したのは、記憶に新しいところだ。



NHK受信料の「差額徴収」は、視聴者からすると「後出しジャンケン」みたいにも思えるが・・・。消費税の徴収の仕組みは、いったいどうなっているのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。



●「実際にサービス提供があった時点」が基準になる


「NHK受信料は、消費税の課税対象となっています。



この4月の増税によって、4月以降分には消費税が8%課税されますので、NHKとしても受信料の8%にあたる消費税を、国に納めなければなりません」



秋山弁護士はこのように述べる。消費税は、受信料支払いの時点で課税されるのではないのだろうか?



「消費税法基本通達によると、『前受金』を受け取っていた場合も、納税義務が成立するのは、実際に放送サービスの提供があった時点になるとされています。



つまり、4月以降分の受信料を前受金として受領していたとしても、実際にサービス提供があった時点の税率が適用されます。



したがって、2014年4月以降の受信料については、消費税が8%課税され、NHKは、増税分の差額について、利用者に追加請求できることになります」



●電車の定期券は「特別扱い」


ところで、それではなぜ、鉄道の定期券は、差額を要求されないのだろうか?



「それは、鉄道の定期券の場合は、特別な経過措置の適用があるからです。



2014年4月1日の前に『前払い』で定期券を購入した場合、4月以降に利用する分の運賃についても、消費税は5%に据え置きになります。そのため、利用者が増税分を追加で請求されることもありません。



このように、NHK受信料と鉄道の定期券との取扱いの違いは、特別な経過措置が法律で定められているかどうかによります」



なんと、むしろ定期券のほうが特別扱いだったということだ。秋山弁護士はこの点について、次のように推測していた。



「税理士さんにお聞きしたところ、鉄道運賃の場合にこのような経過措置が定められているのは、鉄道会社では、従前から、会計処理として『乗車券販売時』に売上を一括計上することが認められていることが影響しているようです。



一方、NHKでは、一括受領した受信料を会計上『前受金』として扱い、毎月取り崩して売上を認識しているようで、それが影響しているのではないかと思われます」


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
秋山 直人(あきやま・なおと)弁護士
東京大学法学部卒業。2001年に弁護士登録。所属事務所は溜池山王にあり、弁護士3名で構成。交通事故等の各種損害賠償請求、企業法務、債務整理、契約紛争、離婚・相続、不動産関連、労働事件、消費者問題等を取り扱っている。
事務所名:たつき総合法律事務所
事務所URL:http://tatsuki-law.org/