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新人は「サービス残業」が当たり前?会社は残業申請を拒否できるのか?

2014年04月06日 12:10  弁護士ドットコム

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「1年目はサービス残業をするのが当たり前でしょうか?」。そんな質問がインターネットの相談サイトに投稿されて、話題になっている。


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この相談者は転職1年目で、先輩に残業申請の方法を教わり、上司に届け出たところ、「新人はサービス残業が当たり前だ」「あつかましい」などと言われたのだという。それ以降、やむなくサービス残業をしているのだそうだ。



この投稿に対して、「ブラック企業だ」「労働基準監督局に通報しましょう」と、相談者の境遇に同情する声があがっている。一方で、「自分も1年目は毎日4時間くらいサービス残業当たり前だった」といったコメントも見られる。



会社に入ってまもないころに残業代を申請するのは気が引ける、という人もいるかもしれない。しかし、会社側が「君は新人だから・・・」という理由で、残業申請を拒否することはできるのだろうか。労働問題にくわしい今泉義竜弁護士に聞いた。



●新人でもベテランでも、サービス残業は「違法」


「その従業員が新人であろうとベテランであろうと、使用者は、所定労働時間を超える『時間外労働』に対して、その時間分の賃金を支払う義務があります。さらに、1日8時間、週40時間を超える場合や休日の労働、深夜労働には、割増賃金を支払わなければなりません」



――では、社員自らが申請しない場合はどうだろうか。



「実際には、『残業代の申請』という形をとっている会社も多いようですね。しかし、賃金というものは、労働契約上、使用者が当然に『支払わなければならない』ものです。たとえ労働者から申請がなくても、使用者はタイムカードなどによって労働時間を把握したうえで、残業代を計算して支払わなければなりません。新人だからとか、申請がないからとかいった理由で、サービス残業を強いる企業は悪質といえます」



――そうはいっても、新人の場合は、「要領が悪い自分のせいで残業になってしまうのだから、会社には申請しづらい」と考えるかもしれない。



「たしかに、新人はベテランに比べて仕事の能率が悪く、同じ仕事をこなすのに時間がかかることも多いでしょう。しかし、使用者は、そのことも十分踏まえたうえで、賃金と所定労働時間を定めて、労働者と契約を結んでいるはずなのです。ですから、遠慮する必要はありません」



●自分のためにも周りのためにも、胸を張って請求しよう


――では、もし、会社から残業代が払われない場合は、どうしたらいいのだろう。



「労働基準監督署に『申告』をしましょう。単なる『相談』では、労基署は動かない可能性が高いので、注意が必要です。その際、『匿名での調査』を求めれば、自分に不利益が及ぶことを防止できます。また、労働問題にくわしい弁護士に相談すれば、労基署への申告書の作成や、残業代を計算して会社に請求することをお手伝いすることもできます」



――泣き寝入りしてしまうと、自分も周りも、この先ずっとサービス残業を強いられることになりそうだ。誰かが動かなければ、労働環境は変わらないのだろう。



「その通りです。一人ひとりの労働者がサービス残業を是正するために動くことは、自分の生活を守ることにつながるだけでなく、その会社、さらには社会全体の労働者の労働条件を引き上げることにつながります。つまり、社会的意義のあることなのです。新人のみなさんも、サービス残業に泣き寝入りせずに、きちんと権利を主張していきましょう」


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
今泉 義竜(いまいずみ・よしたつ)弁護士
2008年弁護士登録。日本労働弁護団事務局次長。青年法律家協会修習生委員会事務局長。労働者側の労働事件、交通事故、離婚・相続、証券取引被害などの一般民事事件のほか、生活保護申請援助などに取り組む。ブラック企業被害対策弁護団、B型肝炎訴訟の弁護団のメンバー。
事務所名:東京法律事務所
事務所URL:http://www.tokyolaw.gr.jp/