トップへ

「配偶者控除」「扶養控除」であいつぐ「誤った申告」 注意すべきポイントは?

2014年03月30日 15:50  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

妻や子どもがアルバイトなどで収入を得ていることを知らないで、サラリーマンの夫が誤った「年末調整」を行い、国税当局から是正を求められるケースがあいついでいるという。産経新聞によると、昨年6月までの3年間で約63万件にのぼる。指摘を受けた企業や個人事業者が追加で納めた源泉所得税の額は約196億円に達するそうだ。


【関連記事:会社に「ウソの理由」を伝えて「有給休暇」を取得したら・・・法的に問題あるの?】



問題となっているのは「扶養控除」「配偶者控除」と呼ばれる制度だ。これは、簡単に言うと、生計をともにして養っている家族がいる場合に、一家の大黒柱であるサラリーマンの税金が安くなる制度だ。



ただ、どんな場合でも税金が安くなるわけではなく、養われている家族に一定以上の所得があると、そのような特典を受けられなくなる。しかしそのことを知らずに、年末調整で控除の申請をしているサラリーマンが非常に多いというのだ。



そもそも、「扶養控除」「配偶者控除」とは、具体的にどんな制度なのだろうか。そして、サラリーマンが注意すべきポイントはなんだろうか。税理士の安田信彦氏に聞いた。



●税金が安くなるかどうかは「家族の収入」しだい


「扶養控除・配偶者控除は、会社員などが働いて家族を養っている場合に、所得が控除され、それによって税金が安くなる制度です」



このように安田税理士は説明する。どのような場合なら、控除を受けられるのだろうか。



「納税する人と生計を一にしていること等の条件もありますが、一番のポイントは収入です。



たとえば、奥さんや子どもなどがパートやアルバイトで収入を得ている場合、毎年1月から12月の期間を対象として、収入の合計額が103万円以下であれば、控除が受けられます」



どれくらいの金額が控除されるのだろうか。



「扶養対象者の年齢などの事情によって、控除される金額が変わります。たとえば、妻がパートで働いている場合、70歳未満であれば、夫の所得からひかれる控除額は38万円です」



つまり、パートで働く妻の年収が103万以下の場合、夫は38万円の「配偶者控除」が受けられるということだ。なお、103万円を超えた場合でも、141万円までは「配偶者特別控除」が段階的に適用され、一定額の控除が受けられるという。





●誤りが多いのは「家庭の会話不足」が原因?


サラリーマンが注意すべきポイントは何だろうか。



「奥さんや子どもの所得がどれくらいあるのか、しっかりと把握することが重要です。



バイトやパートの収入については、聞いてみなければ分からないというのが普通だと思います。おそらく、扶養控除・配偶者控除で誤りが多いというのは、『家族の会話の不足』が原因でしょう。



奥さんがどこでどのようなパートをしていて、どのくらいの収入があるのか? 子どもがどのようなところでアルバイトをしていているのかを把握できていれば、誤りは起こらないでしょう」



「今日会社でね・・・」「お父さん 今日バイト先で・・・」。ふだんから、このような会話を家族でかわしていることが大切だといえそうだ。


安田 信彦(やすだ・のぶひこ)税理士


さくら中央税理士法人代表社員。東京税理士会日本橋支部所属税理士。1956年生まれ。平成2年税理士登録。「一期一会」がモットー。NHK出演など業務効率化のためのIT活用では特に有名。2010年の東京税理士会情報フォーラム「税理士事務所IT化コンテスト」で最優秀賞受賞。東京税理士会情報システム委員として税理士へのIT啓蒙活動にも情熱を傾ける。


事務所名   :さくら中央税理士法人


事務所URL:http://www.ysd21.com


(弁護士ドットコムニュース)