2014年03月30日 13:30 弁護士ドットコム
航空会社スカイマークが新型エアバス機の路線で導入する客室乗務員(CA)の制服が、物議をかもしている。報道によると、その制服は、「ひざ上約15センチ」の青いミニスカート。同社の客室乗務員が、今年5月から半年限定で着用するという。
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男性の利用客の中には、「嬉しいサービスだ」と感じる人もいるかもしれないが、「セクハラを誘発しかねない」「保安上の問題がある」と批判する声が出ている。こうした批判もあり、同社は「着たくない人には、無理に着せない」と答えているという。
一般企業でも、従業員に制服やユニフォームの着用を求めるところがある。そんな制服やユニフォームが、「ひざ上15センチ」のミニスカだった場合、女性従業員は「スカート丈が短い」「スカートが嫌だから」といった理由で、着用を拒否することはできるのだろうか。高木由美子弁護士に聞いた。
まず、女性従業員のみに制服やユニフォームの着用を義務づけていた場合、男女雇用機会均等法(均等法)に違反しないかが、問題になりそうだ。
「たしかに均等法では、職場における男女の差別を禁止しています。ただ、制服等の着用義務を女性従業員だけに課すことについては、明文で禁止されているわけではありません」
それでは、就業規則などで、女性だけの制服着用を義務づけても有効なのか?
「いいえ、職場における男女差別を禁止している均等法の趣旨から考えると、均等法に違反する行為といえます。
ですので、たとえば、制服着用を拒否した女性従業員を会社が解雇すれば、解雇権の濫用として、その解雇は無効になる可能性があります」
次に、ミニスカのように露出の多い制服を着せることは、セクシャル・ハラスメントにあたらないのだろうか。
「たしかに、女性にミニスカートといった露出の多い服装の着用を義務づけることは、均等法違反になるだけでなく、セクシャル・ハラスメントとなる可能性もありますね」
どのような理由で、そういえるのだろうか。
「そもそも使用者は、性的な言動等で職場環境が害されることを防止し、従業員が気持ちよく働ける環境を整備しなければならない義務を負っています。
そのような義務を負っている使用者が、女性従業員にミニスカート着用を命じると、スカートが短いことで、他の従業員や取引先からのセクハラ行為を誘発する危険があるといえます。
また、露出の大きい服装を着ていること自体に女性従業員が苦痛を感じ、就業意識が低下することもあります」
このようなことは、使用者の「セクハラ防止環境整備義務」に真っ向から反するという。
「したがって、均等法違反およびセクシャル・ハラスメントという観点から、女性従業員は会社の『ミニスカート着用命令』を拒否できると考えます」
このように高木弁護士は説明する。今回のスカイマークの場合、会社側は「着たくない人には、無理に着せない」と説明しているようだが・・・
「仮に、ミニスカート着用が女性従業員の同意を条件とする場合であっても、使用者と従業員の力関係のバランスを考えると、同意が必ずしも真意に基づくものともいえません」
たしかに、嫌でも言い出せないというケースも多そうだ。
「ですから、同意の有無にかかわらず、ミニスカート着用制度は好ましくないと考えます」
こう高木弁護士は結論づけていた。
航空会社間の競争も激しいようだが、客室乗務員のスカートの短さを差別化のための戦略とするよりも、本来の安全性や利便性で競い合ってほしいものである。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
高木 由美子(たかぎ・ゆみこ)弁護士
第一東京弁護士会所属弁護士。カリフォルニア州弁護士
事務所名:さつき法律事務所
事務所URL:http://www.satsukilaw.com/