2014年03月21日 15:20 弁護士ドットコム
橋下徹氏の辞職にともなって、3月23日に投開票がおこなわれる大阪市長選挙。目玉の政策として掲げる「大阪都構想」の行き詰まりを打開するため、前市長の橋下氏は「民意を問いたい」と辞職し、出直し選挙の道をえらんだ。
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主要政党の自民、民主、公明、共産は候補の擁立を見送ったが、前市長と新人3人の4人が立候補を届け出た。候補者は届出順に、前市長で「大阪維新の会」代表の橋下徹氏(44)、無所属の二野宮茂雄氏(37)、スマイル党総裁のマック赤坂氏(65)、無所属の藤島利久氏(51)となっている。
大阪市選挙管理委員会によると、それぞれが届け出た「職業」は、橋下氏が弁護士、二野宮氏が無職、マック赤坂氏が財団法人会長、藤島氏がインターネットTV局経営と、なかなかバラエティに富んだ顔ぶれのように思われる。
実は、この4人には共通点がある。それは、大阪市外に「住所」があるということだ。
4人の候補者の住所は、橋下氏が大阪府豊中市、二野宮氏が兵庫県尼崎市、マック赤坂氏が東京都港区、藤島氏が高知県高知市となっている。つまり、4人とも大阪市内に住所がないというのだ。
ここで頭に浮かぶのが、「大阪市の住民でなくても、大阪市長選挙に出馬できるの?」という疑問だ。市長になろうとする人は、その市に住んでいるべきではないかとも思うが、どうなのだろうか?
この点、公職選挙法には、市長選挙に立候補できる者についての規定がある(10条)。そこには、「日本国民」「年齢満25年以上の者」という条件が書かれているが、住所については特に書かれていない。
そこで、大阪市選挙管理委員会に聞いてみると、「大阪市長に立候補するには、日本国民で、満25歳以上の人であればよく、大阪市内に住んでいることを条件としていません」という答えだった。
今回の4人は大阪市内に住んでいないが、公職選挙法上、大阪市長に立候補しても問題ないというわけだ。
一方、選挙権、つまり選挙に投票できる権利については、公職選挙法9条2項に規定がある。
それによると、市長選挙に投票できるのは、(1)満20歳以上の(2)日本国民で、(3)その市内に3カ月以上住んでいる人だ。
つまり、大阪市長選挙も、投票するためには大阪市の住民であることが必要なのだ。今回の4人の立候補者はいずれも、大阪市内に住んでいないため、自分自身は投票できないということになる。
橋下氏の選挙事務所にも取材したところ、「(大阪市外に住所があることから橋下氏は)前回の市長選でも、自身は投票していない」ということだった。
(弁護士ドットコム トピックス)