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くまモンそっくりの「にせモン」登場 「着ぐるみコスプレ」はどこまで許される?

2014年03月17日 14:20  弁護士ドットコム

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大人気ゆるキャラ「くまモン」。そのお膝元である熊本県で2月中旬に開催されたマラソン大会に、本物そっくりの着ぐるみコスプレが出場して話題となった。黒くて、まるっこい体に、トレードマークの赤いほっぺという姿はくまモンそのものだが、実はオフィシャルのものではなかったのだ。


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このくまモンならぬ「にせモン」の中に入っていたのは県内の一般男性だという。胸にごく小さく「にせモン」という表示をつけていたようだが、本物と勘違いした人は多かったらしく、沿道で撮影した写真を、「頑張れくまモン!」といったツイートとあわせて投稿する人があいついだ。



ところで、熊本県が定めた利用規程によると、くまモンを利用するには、あらかじめ熊本県知事の許諾を得なければいけないとされている。今回の「にせモン」が利用許諾を得ていたのかどうかは不明だが、県も特別後援する大会で出走できたということは、スタッフ側に問題なしとの判断があったのかもしれない。



では、今回のように、全身を覆う着ぐるみコスプレで公の場に出る場合、著作権の問題など、注意すべき点はあるのだろうか。石下雅樹弁護士に聞いた。



●著作権者から「利用許諾」を得ておくのがよい


「あくまでも一般論として申し上げます。まず、イラスト等で表現されたキャラクターを模した着ぐるみを作って、公の場に出る場合、権利者の許諾を得ていなければ、著作権侵害となる可能性があります」



――これまでの裁判では、どのような場合に著作権侵害だとされてきたのだろうか。



「一概にはいえませんが、判例は、キャラクターを表現した図柄について、著作権を認めています。そして、そのキャラクターを想起させる方法でキャラクターを描く行為は、『複製権』『翻案権』などと呼ばれる著作権の侵害にあたるとしています」



――つまり、許諾を得ずに元のキャラを模した着ぐるみで公の場に出ることは、違法の可能性がある?



「はい。法的に見ればその可能性は無視できないでしょう。今回のような大規模なマラソン大会での使用やインターネットへの掲載等を『私的使用』と評価することは難しいと思います。



もちろん、着ぐるみの使用状況は様々あり、個人がささやかな趣味程度に作るという場合ならば、事実上黙認されるという状況もありえますね。しかし、紛争リスクの回避という観点からは、著作権者から利用許諾を得たほうがいいでしょう」



――とはいえ、利用許諾を得るというのは、大変そうだが・・・



「この点、地方自治体の『ゆるキャラ』の場合、PR目的で一般の使用のために広く開放し、所定の申請をすれば原則として無償で許諾するという運用は珍しくありません」



くまモンも、利用規程によれば、利用料は「当分の間、無料とする」とされている。公式のウェブサイト(https://kumamon-official.jp/application)に利用申請の方法が書かれているので、もし何かに活用したいという場合は、正式に申請したほうがいいのだろう。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
石下 雅樹(いしおろし・まさき)弁護士
ITに関する法律、特許・商標・著作権等の知的財産権、国際取引、労働法、会社法務等のビジネスローを中心に業務を行っている。
事務所名:クラフトマン新宿特許法律事務所
事務所URL:http://www.ishioroshi.com/