2014年03月11日 19:40 弁護士ドットコム
毎年恒例の「確定申告」の季節。会社勤めのサラリーマンであれば、所得税については年末調整で処理されるため、「自分には確定申告は関係ない・・・」と思っている人も多いのではないだろうか。
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しかしサラリーマンでも、仕事に必要ならば、資格取得のための専門学校の授業料やスーツ代、さらには新聞や週刊誌などの購入費用までもが経費と認められ、確定申告すれば払いすぎた税金を取り戻せる場合もあるのだという。
そのあたり、実際はどうなっているのだろうか? 税理士の近江清秀氏に聞いた。
「会社勤めのサラリーマンであっても、確定申告時に『特定支出控除』という制度を利用すると、給与から源泉徴収された所得税の一部が戻ってくる場合があります」
このように近江氏は説明する。それは、どんな場合なのだろう?
「具体的には、給与所得のうち、課税対象外として税金がかからない部分があり、これを『給与所得控除』と言います。この給与所得控除額の50%を、特定支出として認められる支出が超えた場合、その超えた金額が控除の対象となります。
たとえば、年収500万円の場合、給与所得控除額は154万円となります。特定支出として認められる支出が、この154万円の50%、つまり77万円を超えた場合、その超えた金額が『特定支出控除』の対象となり、払いすぎた税金が戻ってきます。
この『特定支出控除』の制度は、2013年分から改正され、適用基準が緩和されました。それにより、認められる経費も広がったのです」
それでは、どのような支出が「特定支出控除」として認められるのだろうか。
「現在は、次の6種類が、控除対象の特定支出として認められています。
(1)通勤費
(2)転勤に伴う転居費
(3)職務に直接必要な研修費
(4)職務に直接必要な資格取得費
(5)単身赴任などの場合の帰宅旅費
(6)職務に関連する図書費・衣服費・交際費などの勤務必要経費
これらに該当する特定支出がある方は、確定申告を申請する際に、『特定支出控除』を受ける旨などを記載するとともに、国税庁のウェブサイトなどからダウンロードできる『給与所得者の特定支出に関する明細書』に領収書と給与支払者の証明書を添付して提出する必要があります。
なお、(6)の勤務必要経費は、2013年分から適用されるようになりました。スーツや新聞・雑誌の購入費用はここに該当します。ただし、合計金額が65万円までという上限が設定されているので、この点はご留意ください」
【取材協力税理士】
近江清秀(おうみ・きよひで)税理士
朝日監査法人(現・あずさ監査法人)でベンチャー企業の株式公開支援業務に従事。その後中小企業の経営コンサルティング、会計・財務業務の実務経験を積み、2001年5月に独立。近畿地方を中心に中小企業の発展と相続税対策業務を行っています。
事務所名 :近江清秀公認会計士税理士事務所
事務所URL:http://www.marlconsulting.com
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