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ニセの「死亡記事」を流されたエド・はるみさんが激怒 「デマ」発信者の責任は?

2014年03月11日 12:00  弁護士ドットコム

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生きている有名人の「死亡記事」をネット上に流すという悪質ないたずらがネットで起きた。「お笑い芸人・エド・はるみさん死去 収録先のホテルで」というタイトルの訃報記事の画像が、2月下旬にツイッターで拡散したのだが、真っ赤なウソだった。


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この画像は新聞社のサイトに掲載された別の人物の訃報記事をもとに、写真や記事内容を入れ替えて作られたもの。エドさん本人は「徹底追及します。このままでは済ませません」と激怒。ツイッター上で、犯人捜しを展開したのだ。



このような有名人の「死亡説」は、本人が冗談として受け流せるくらいなら良いが、あまりに悪質だと、エドさんのように気分を悪くするかもしれない。では、ニセの「訃報記事」を流した人物は、その有名人から損害賠償を請求されるのだろうか。インターネット上の誹謗中傷問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。



●ウソの「死亡説」で「社会的評価」が低下した?


「結論的には、損害賠償を請求できる余地はあるのではないかと思います」



このように清水弁護士は述べる。なぜだろうか。



「損害賠償を請求できるかどうかは、その行為が不法行為に当たるかどうかによります。ニセの死亡説の発信・発言によって侵害される可能性がある権利・利益としては、たとえば、『名誉権』や『名誉感情』といったものが考えられます」



エドさんの「死亡説」は、彼女の「名誉権」を侵害しているのか?



「名誉権は、簡単にいえば、社会的評価(=人に対する人格的評価)の低下をもたらす表現によって侵害される、と解されています。しかし、『死亡説』が流れたとしても、それによって人格的評価が下がるわけではないと思われます。



本件についていえば、方法として新聞記事のコラージュであるというのは行き過ぎであるとしても、『最近テレビで見ないよね』という指摘の延長であると思われ、社会的評価(=人に対する人格的評価)の低下があるとはいえません。そのため、名誉権侵害というのは難しいでしょう」



●「名誉感情」を侵害している可能性がある


では、「名誉感情」の侵害についてはどうだろうか?



「名誉感情も法的に保護されますが、主観的な感情をすべて保護することはできません。そのため、社会通念上許される限度を超える侮辱行為のみが、慰謝料請求の事由となるとされます。



死亡説を流すことが、社会通念上許される限度を超えるかどうかが問題になりますが、今回のやり方は手が込んでいることを考慮すると、名誉感情侵害が認められる余地があるのではないかと思います」



ただ、損害賠償額については、「芸能人ということで、一定程度のことは受忍するべきともいえ、一般の人よりも少額になると思われます」ということだ。



ちなみに、エドさんは騒動のあと、ツイッターで「人の命に関わる話さえ、『冗談』で済ませるられるようになったら、終わり」(原文ママ)とつぶやいている。自分の知らないところで、勝手に死んだことにされたのではたまらない。そんな怒りがストレートに伝わってくるツイートだった。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
IT法務、特にインターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定に注力しており、平成24年には東京弁護士会の弁護士向け研修講座の講師を担当し、26年にも同様に講師を担当する予定。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp