2014年03月10日 20:00 弁護士ドットコム
去年は妻が出産して、長男は骨折、次男は歯科矯正となにかと「医療費」の出費が多かった――。家庭を持つサラリーマンであれば、このように家族が医療機関の世話になることが重なり、頭を悩ませている人もいるのではないだろうか。
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そんなとき、家計の助けになる「医療費控除」という制度がある。医療費の出費が大きかった場合、税務署に確定申告することで、払った税金の一部が戻ってくる仕組みだ。ただ、そのためには、会社にまかせておくのではなく、自分で手続きをする必要がある。
「医療費控除」の対象になるのは、どんな医療費なのか。申告のために、何をすべきなのか。医療費控除のポイントについて、税理士の大野晃氏に聞いた。
「現在の法律では、たとえば、次のような医療費が控除の対象とされています。
・医者・歯医者での診療・治療
・治療・療養に必要な医薬品の購入
・病院等や指定介護施設へ収容されるための人的サービス
・あん摩マッサージ指圧師、はり師、柔道整復師等などによる施術
・助産師による分べんの介助等」
大野税理士によると、これ以外にも医療費控除の対象になるものはあるというが、どういう場合に対象になると考えておけばいいのだろう。
「医療費になるかどうかの考え方としては、『治療のための費用や医師の指示によるもの』ならば控除の対象となり、『美容や健康増進、病気予防のための費用』は控除の対象とはならない、と考えると分かりやすいのではないでしょうか」
では、控除の対象になる医療費があった場合、どうすればいいのか。
「家族全員の医療費の負担が一定の金額を超えた場合、確定申告をすれば、払いすぎた税金が戻ってきます。
この一定の金額については、『10万円を超えたら』と言う声をよく耳にします。しかし、これは『総所得金額が200万円を超える場合』の話ですので、厳密にいうと間違いです。
『総所得金額が200万円未満の場合』ならば、総所得金額の5%となります。つまり、所得金額が100万円ならば、5万円を超えた医療費が控除の対象になるわけです。
なお、この金額を超えたとしても、保険金や出産育児一時金等で医療費が補てんされるものは、医療費から差し引くことになるのでご注意ください」
実際に確定申告する場合は、何が必要なのだろうか。
「確定申告書に医療費控除に関する事項を記載し、必要書類とともに提出してください。
必要書類としては、医療費の証明書として領収書・レシートなどが求められます。したがって、これらはすぐに捨てずに一定期間、保管されることをおすすめします。また、サラリーマンの場合は、勤務している会社の源泉徴収票も合わせて必要です」
【取材協力税理士】
大野 晃 (おおの・あきら)税理士
副所長税理士・相続診断士。「飲食店に強い税理士」としてラジオにゲスト出演(You tube「税理士 大野」で閲覧可能)、大和ハウス主催セミナー「取引相場のない株式の評価」などメディアやセミナーの実績多数。著書には「1,000万円を超えたら税理士に頼みなさい」あさ出版(共著)・「財産を守る相続税対策」JPコンサルタンツ(共著)など。
事務所名 :ITA大野税理士事務所
事務所URL:http://www.ita-ohno.com/
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