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「料理の写真を勝手に撮るな!」 レストランに撮影を禁止する権利はあるか?

2014年03月08日 13:10  弁護士ドットコム

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飲食店の料理をスマホで撮影して、その写真をツイッターやフェイスブックなどSNSに投稿する――。いまや、そんな行為もおなじみになった。しかし、こうした客の行為を「フード・ポルノ」と呼んで、批判する声があるようだ。


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AFP 通信などによると、『ミシュラン』で紹介されるようなフランス料理の高級レストランの中には、SNSへの投稿を阻止するため、写真撮影を禁止した店がある という。その理由は、「ソーシャルに共有されると、料理を見ても、だれも驚かなくなる」「だれかに料理をマネされるかもしれない」といったものだ。



「SNS での共有は宣伝になる」と前向きにとらえる声がある一方で、客が勝手にSNS投稿するのはうんざりだと感じているシェフは少なくないようだ。では、そもそ もレストラン側には、客が料理を撮影したり、SNSへ投稿する行為を拒否する権利はないのだろうか。日本ではどうなのか。桑野雄一郎弁護士に聞いた。



●美しい料理は「著作物」といえるか?


「まず、料理を著作物と考え、写真の撮影やSNSでの共有を『著作権侵害』ととらえることが、考えられます」



著作権法にくわしい桑野弁護士はこう説明する。著作権というと、小説や音楽、映画といった作品が頭に浮かぶが、料理もそれによって保護されるということだろうか。



「たしかに、器に美しく盛り付けられた料理について、著作物と考える余地はあります。しかし、著作権法で保護されるためには著作物性(創作性)が必要ですが、そのハードルは高いでしょうね。



また、従来、店の出す料理が著作物だという理解はされてこなかったと思います。ですから、ここで著作権を持ち出すのは、空理空論の感は否めません」



どうやら、著作権法で保護される可能性はあるものの、実際に裁判で認められるかといえば厳しいようだ。そこで、桑野弁護士は、別の観点から次のように言及する。



「料理の著作権のほかに考えられるのは、飲食店の管理権です。店は、客の店舗の利用について、一定のルールを定める権利があります。たとえば、ドレスコードや禁煙ルールです。料理の撮影についても、この管理権に基づいて、禁止することは可能でしょう」



●撮影を禁止したいなら、事前に告知したほうがいい


だが、客がもし何も知らされていなかったとしたら、何気なく、写真を撮ってしまうことも多いだろう。写真を撮影してしまったあとで、「その写真は削除してください」と言われたら、客も気分を害するのではないか。



「たとえば、禁煙については、事前に知らされていなかった客との間で、トラブルとなることもありました。したがって、撮影禁止も、店が事前に告知するほうがよいと思います。



事前にきちんと告知し、客もそれを了解したうえで来店した場合には、撮影禁止は契約内容といえます。そうなれば、契約上の義務の履行として、写真撮影を禁止することも可能となります」



具体的な対処法としては、あらかじめ、メニューに「料理の撮影はお断りさせていただいています」といったメッセージを記載しておくことなどが考えられるだろう。もしそのルールにしたがうのが嫌ならば、客は料理を注文する前に席を立てばいいわけだ。



「もっとも、食事の席では、このような無粋な法律論はふさわしくないですよね。できれば、店にも他のお客さんにも迷惑をかけないで、できたてのおいしい料理をいただいて、気持ちよく食事を楽しみたいものです。本来、そのためにレストランに行くのですから」


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
桑野 雄一郎(くわの・ゆういちろう)弁護士
骨董通り法律事務所。島根大学法科大学院教授。「外国著作権法令集(46)-ロシア編―」(翻訳)、「出版・マンガビジネスの著作権」(以上CRIC)、「著作権侵害の罪の客観的構成要件」(島大法学第54巻第1・2号)等。
事務所名:骨董通り法律事務所
事務所URL:http://www.kottolaw.com