2014年02月18日 15:20 弁護士ドットコム
「ふわふわカールのパーマにしてもらいに美容室に行ったのに、チリチリぱさぱさのソバージュみたいにされた」。インターネットの相談サイトに投稿された、美容室に対する利用者の不満だ。ここまで極端なケースはあまりないにしろ、美容室でかけてもらったパーマやカラーリングの仕上がりに、「納得できない」という女性は少なくないのではないか。
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美容室でパーマやカラーリングで失敗した場合、女性たちはどうしているのだろうか。東京都内のIT企業に勤めるHさん(30歳)によると、ほとんどは泣き寝入りで、あまりにもリクエストと違った場合に限って、やり直してもらうとのことだ。「できれば髪が傷まないように、無料でトリートメントも付けてもらいたいけど・・・」と話す。
このように美容室でかけてもらったパーマやカラーリングがあまりにもリクエストと違った場合、客は美容室に返金を求めることができないだろうか。それとも、いったんサービスを受けてしまった以上、仕上がりに納得できなくても、お金を返してもらえないのだろうか。大熊裕司弁護士に聞いた。
「世の女性は、『綺麗になりたい!』という気持ちで、美容室に行くと思います。
しかし、美容室でかけてもらったパーマやカラーリングが、女性のリクエストとあまりに違っていた場合、当然『お金を返して!』という気持ちになるでしょうね」
では、実際に美容室に返金を求めることは可能なのだろうか?
「美容室でサービスを受ける際、店と客の間には法律的には『契約』が成立していることになります。
その内容は、原則、自由に取り決めることができますし、お互いの合意があれば契約解除もできます(私的自治の原則)。したがって、美容室との間で合意ができれば、返金してもらうことは可能です」
それでは、もし美容室との話し合いがつかず、裁判になったとしたら?
「ある裁判例で、キャバクラ嬢がリクエストと異なるカットやカラーリングをされて、売り上げが落ちたとして、損害賠償を請求したケースがあります。
このときの裁判所の判断を要約すると、リクエストの内容はある程度抽象的にならざるを得ないので、美容師が『合理的なカット手法』を採用していれば、損害賠償は認められない、というものでした」
それは裏返すと、場合によっては損害賠償が認められる可能性もある、ということになりそうだ。それはどんなケースだろうか?
「たとえば、美容師の技術が未熟なため、客のリクエストと明らかに異なる結果が生じた場合ですね。ほかに、美容師が客のリクエストを十分確認しないでパーマなどをした場合なども、該当すると思います。なお、キャバクラ嬢が起こした裁判でも、損害賠償が認められています」
こうした事例なら、賠償が認められる可能性もある、ということだが……。大熊弁護士はこういったケースだと、裁判は割に合わない可能性が高いとして、次のように結論づけていた。
「売れっ子のキャバクラ嬢や芸能人でもない限り、納得のいかないパーマやカラーリングによって、多額の損害賠償が認められることはないと思います。
裁判にかかる時間や手間を考えれば、施術前にしっかり相談に乗り、仕上がり具合について丁寧に説明してくれる美容師がいる店を選んで、そこに通うなどしたほうが好ましいと思います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大熊 裕司(おおくま・ゆうじ)弁護士
第一東京弁護士会所属弁護士。家事事件、消費者問題、知的財産関係、インターネット問題(ネット上の名誉毀損、誹謗中傷対策など)を中心に扱っている。
事務所名:虎ノ門法律特許事務所
事務所URL:http://www.toranomon-law.jp/