2014年02月02日 14:40 弁護士ドットコム
冬本番、北国では「雪かき」が欠かせない季節。雪をどかすだけでも一苦労だが、その雪をどこに捨てるかも、大きな悩みの種となる。というのも、雪の多い地方では「雪かきのマナー」をめぐるご近所トラブルが日常茶飯事だからだ。
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東京から北陸地方に移住したスキー・インストラクターのNさんは、隣人が「敷地内の雪を道路に出したまま片付けてくれない」とこぼす。大雪のあとなどは、その家の前を車で通れなくなってしまうのだという。だが、そう言うNさん自身も、「空き地」に雪を捨てていたら、近くの農家から「そこは稲の苗を育てるための土地だ」と苦情を言われたことがあるという。
このように色々とマナーが難しい「雪かき」だが、近所の人が「迷惑な雪かき」をしていた場合、何らかの法律で、それをやめさせられるのだろうか。雪国の北海道札幌市で開業する大久保誠弁護士に聞いた。
「雪が自宅等の敷地内に捨てられたときは、所有権に基づく妨害排除請求として、捨てた人に対してそれを除去するよう要求できます。
しかし、道路に捨てた場合には、道路が個人の所有地(私道)でない限り、妨害排除請求はできないでしょう」
そうなると、公道の場合は?
「道路が公道であれば、道路交通法や道路法の適用がありえます。
道路交通法76条3項は、『何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路においてはならない』と規定していて、違反した場合は3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられます(同法119条1項12号の4)。
また、道路法43条2号は『何人も道路に関し、……みだりに……道路の交通に支障を及ぼすおそれのある行為をすることをしてはならない』と規定していて、違反した場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(同法100条3号)」
困っている場合は、誰に言えばいいのだろうか?
「もし、近所の人が雪を道路に出したまま片付けないせいで、自動車が通れないほどに交通を阻害している場合には、警察に事情を伝えて、警察から注意をしてもらえば良いでしょう。もし、それでも改善されないときは、刑事告訴をすることになるでしょうが……」
大久保弁護士はこのように述べたうえで、札幌市の雪かき事情について、次のように話していた。
「なお、札幌は190万人以上が暮らす大都会ですが、このクラスの都市としては、世界に類をみないほどの降雪量があります。
市民のみなさんは雪かきに苦労していますが、道路に除雪せざるを得なくなっても、自動車が通れるだけの余地は残すようにしています。
最近では、民間の業者を頼んで週に1度くらいの割合で排雪に来てもらい、快適な交通環境を維持するように努めています」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大久保 誠(おおくぼ・まこと)弁護士
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。
事務所名:大久保法律事務所
事務所URL:http://www.ookubolaw.com/