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他人のツイートを無断使用し本を出版?―人気ハッシュタグの投稿めぐり騒動勃発

2014年01月29日 11:20  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

他人のツイートを無断使用し本を出版?―人気ハッシュタグの投稿めぐり騒動勃発

 昨年Twitterで話題になった大人気タグ「#アホ男子母死亡かるた」を巡って今騒動が勃発している。


 このタグは息子を持つ母親の悲哀をかるたの五十音順で表現したもの。
タグに投稿されるツイートがいずれも秀逸だったことから、togetterのページは79万Viewを突破。さらには当時テレビで取り上げられるなどもした。


【元の記事はこちら】


 ところがタグの人気も一段落した今年、株式会社ユーメイドからある一冊の本が発売されることになり、再び注目を集めることになった。
問題の本は2月3日に発売される甘井ネコさん著の『アホ男子かるた』。


 この本に掲載されてる一部に、「#アホ男子母死亡かるた」から投稿者に無断で使用されているものが含まれているとして問題になっているのだ。


 まだ発売前の本のため、詳しく内容を比較することはできないが、宣伝用に公開されたものを探すと3つの文章が見つかった。それを「#アホ男子母死亡かるた」に投稿されたものとで比較してみると、明らかに似た文章を2つ見つけることができた。


 例えば【あ】では「あさは送り出すだけで重労働」となっているが、これは「#アホ男子母死亡かるた」の発案者でもあるイシゲスズコさん(@suminotiger)が2012年10月30日に投稿した「【あ】朝送り出すだけで重労働」と酷似している。
違うのは「朝」が「あさ」と平仮名になっている点と、「は」があるかないかという点。


▼比較
朝送り出すだけで重労働(#アホ男子母死亡かるた/参考:togetter)
あさは送り出すだけで重労働(甘井ネコ著『アホ男子かるた』/参考:ユーメイド『アホ男子かるた』)


 他にも【ほ】の「ぼーるぺんの試し書きでちんこ」は2012年10月30日に他の方が投稿された「ほ)ボールペン売り場の試し書きで「ちんこ」」とこちらも酷似している。
違うのは「ボールペン」が平仮名になっている点と、「売り場」という言葉があるかないか。そして「ちんこ」にかぎ括弧があるかないか。


▼比較
ボールペン売り場の試し書きで「ちんこ」(#アホ男子母死亡かるた/参考:togetter)
ぼーるぺんの試し書きでちんこ(甘井ネコ著『アホ男子かるた』/参考:Amazon商品ページ)


 今回の騒動について著者の甘井ネコさん(@amaineko3)は、【あ】の投稿者であるイシゲスズコさんからの質問に対しTwitter上で、「書籍化に際し、出版社さんのサイドで、Twitter社さん等の許可などはクリアされているという事で、このお話を受けた次第です。」「私も投稿した一主婦で、法的な事とか、許可とかは全くわからないので、当初心配はしておりましたが、その辺りの問題はクリアされているとの事でした。」と、著作権については出版社側でクリアにしているという回答を示しているが、イシゲさんに対し事前に出版社からの連絡は一切なく、出版を知ったのはRTだったという。


 著作権問題については、どういう基準で出版社側がクリアと判断しているかは今のところ謎だが、ざっと探しただけでも3つ中2つの文章があまりに酷似しているというのは偶然では片付けきれない。しかも文言の一部に変更が加えられているというのには、何らかの“意図”さえ感じさせる。


 Twitterのツイート著作権所在についてはネット上様々な意見があるが、例え無断での転載可能だったとしても今回の件については出版社としてのモラルが問われるのではないだろうか。
 今後出版社から明かされるであろう「著作権クリア」と判断した基準には大きな注目が集まることとなる。