トップへ

Appleから起業へ 写真・ビデオ公開プラットフォーム「Storehouse」社長インタビュー

2014年01月28日 18:10  Techable

Techable

写真

Appleに在籍しUXエヴァンジェリストを務め、Adobe在籍時にはPhotoshopのデザインチームを率いるなど、長く写真を扱うソフトウェアのデザインに携わっていた、マーク・カワノ氏。


今月、米サンフランシスコでカワノ氏が独立創業したスタートアップ会社から、iPad向けの写真・ビデオ公開プラットフォーム、Storehouseがリリースされたのをご存知だろうか?


Storehouseの共同創業者CEO、マーク・カワノ氏に話を聞いた。


 Q. CEOは過去に世界的な大会社で様々なキャリアを積んでいますね。その当時のお話と、起業してStorehouseを始めるに至ったいきさつは?




「私はシリコンバレーで長い間、写真編集ソフトをデザインして来た。デジタル写真の最も重要な時期に、役割を果たせてとてもラッキーだったと思う。でも、デジタル写真が人気になって、写真そのものの意味が変わってしまった。


私はいつでも、写真の 『ストーリーを伝える』という局面にとても興味を持っていた。そして、iPadが発売された時、私には『写真の編集』にもっと大きな可能性が見えた。


マガジンアプリ開発の為に長い間、多くの素晴らしい企業と働いた後、私はAppleを辞めて共同起業者のティモシーと共にStorehouseを始める事を決めた。」



Q. Storehouseデザイナーチームも、AppleやFacebookで働いていたとか。今回アプリを作るにあたって、苦労した事は何ですか?




「一番大きな問題は、物事を考えすぎてしまう事なんだ。小さなスタートアップ企業としては、速い動きが必要になってくる。でもそれは、開発者みんなが凄く小さい事にこだわっていると、やりにくい事だ。」




Q.いよいよ、Storehouseがリリースされました。このアプリにユーザーは何を期待できそうですか?




「1.0バージョンでは、出来るだけ操作を簡単にする事にフォーカスした。将来的には、素晴らしいストーリーをもっと簡単に発見できるようにしたい。私たちにとって、強いコミュニティーを作る事はとても重要。


そして、ビデオこそがStorehouseにおいて、視覚的なストーリーテリングの大きな役割を担うと思う。ビデオクオリティーにもパフィーマンスにも、多くの改善点がある。使用体験の向上に技術努力を集中している。」



Q.ちなみにCEO、「カワノ」さん、と言う事はもしかして?




「私が日系人である事は名前から一目瞭然のことかもしれない。(父親の家族は広島から来た。)妻も日系アメリカ人で、私がAdobeを退職した後、東京に住んでいた事もあった。


私には、ニコンかキャノンのカメラファームウェアの仕事をすると言う夢があったんだが、私の日本語は充分でなく、英語講師の仕事ぐらいしか出来なかった。それで、私たちはカリフォルニアに戻る事を決めた。


でも、日本の文化は大好きだし、家で日本食を毎日食べているし、出来る限り多く日本に訪れようと思っているよ。」



Q.なるほど!シリコンバレーの第一線で活躍して凄い方だと思っていましたが、日本が第二の故郷なんですね。日本の市場はなぜStorehouseにとって重要なのでしょうか?




「日本人はビジュアルコミュニケーションに精通している。アメリカ人やヨーロッパの人々よりもずっと。日本の標識から色彩豊かな道、どこを見ても日本人はデザインとイメージに深い理解がある事がハッキリ分かる。それに、当然写真は日本文化で大きな位置を占めている。


Storehouseが興味深いところは、写真やビデオを、物語を語る上でのメインの言語としているからだ。言葉の壁があっても理解できる事はたくさんあるし、世界中の人々とつながれる事は素晴らしい。


日本のユーザーは普段の生活を紹介するだけなく、映像だけを使ってコミュニケーションする事を世界に教えてくれるんじゃないかと期待している。


日本食、日本のファッション、日本の旅行は人気のジャンルなので、世界の人達に教えてほしいね。」




Q.ちなみに、日本語版のStorehouseのリリース予定はありますか?




「もちろんだよ。今は英語版しかリリースしていないが、出来るだけ早く完全ローカライズした日本語版をアップデートする予定だ。」



世界的大企業を辞めてスタートアップ。遠い世界に感じるアプリ会社のCEOだが、日本の私たちの方が勝っていると言いきる。

映像でここから世界に何を伝えられるだろう。Storehouseで試してみるのも良いかもしれない。

Storehouse

(Writer: Saera Jin)