2014年01月05日 15:50 弁護士ドットコム
「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざがある。しかし、縁の切れ目が金の切れ目とは限らない――たとえば、交際相手と別れたが、貸したお金はきちんと返してもらいたい。そんな場合もあるのではないか。
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だが、別れた相手と積極的に連絡を取るのは、気が引ける。そんなとき、仲の良い友人に、「じゃあ、俺が代わりに取り立ててきてやるよ」と言われたら、あなたはどうするだろうか。心強いと感じて、お金の取り立てを依頼するかもしれない。
こんなふうに、貸したお金の取り立てを友人に代行してもらうことは、法的に問題ないのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。
「貸したお金の取り立てを代行するということは、本人を代理して、貸金の返還請求をするということです。
この点、弁護士法72条は『弁護士でない者は、報酬を得る目的で・・・一般の法律事件に関して・・・代理・・・をすることができない』と規定しています。
これに違反した場合は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます(同法73条)」
つまり、「他人の債権回収」を業務として行うことは、弁護士と、国の許可を受けた債権回収会社にしか認められていないようだ。友達の借金を代わりに取り立ててあげる場合も、法律違反になってしまうのだろうか?
「弁護士法72条違反になるためには、『報酬を得る目的』に加えて、『業として』行うことが必要です。『業として』というのは、反復継続してということです。
縁故者がたまたま紛争解決に関与するとか、社会生活上、当然の相互扶助的協力とされるような行為までは、取締の対象とはなっていません。
したがって、報酬を受け取らない場合は、弁護士法には違反しません。また、たとえ報酬を受け取っても、業として行っているのでなければ、違反にはなりません」
大久保弁護士はこのように指摘していた。そうなると、親しい友人の貸したお金を、何かのきっかけでたまたま取り立てる程度であれば、法的な問題はなさそうだ。ただ、たまたまうまくいったからといって、味をしめてあわよくば商売に……とは考えないほうが良いだろう。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
大久保 誠(おおくぼ・まこと)弁護士
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。
事務所名:大久保法律事務所
事務所URL:http://www.ookubolaw.com/