2014年01月02日 12:11 弁護士ドットコム
ある日突然、クレジットカード会社から身に覚えのない高額な請求書が届く。確認してみると、子どもがオンラインゲームの有料サービスを利用していた――。そんなトラブルが急増しているという。
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国民生活センターによると、インターネット上のゲームに関する相談件数は2009年度以降、年々増加している。特に2013年度は、未成年者がらみの相談が11月15日時点で1341件も寄せられており、前年度の同時期に比べて約2.5倍の勢いで伸びているという。
目立つのが、親の知らぬ間に子どもがゲーム内の有料アイテムを購入したというケースだ。国民生活センターのホームページでも、6歳の女児が親のタブレットを使って、オンラインゲームの有料アイテムを10万円以上購入していた事例が紹介されている。
このように、未成年の子どもが親に無断でゲーム内でのアイテムを購入した場合、親が責任をとって料金を支払わなければならないのだろうか。日弁連・消費者問題対策委員会の幹事をつとめる岡田崇弁護士に聞いた。
「必ずしも支払わないといけないわけではありませんし、既に支払っていたとしても、取り戻せる場合もあります」
具体的には、どのような場合には支払わずに済んで、どのような場合なら支払わなければならないのだろうか?
「子どもが遊んでいて、オンラインゲームでアイテムを購入した場合、子どもとゲーム会社との間にアイテム購入契約が締結されたことになります。
そのため、子どもが未成年であれば、民法上、アイテム購入契約の未成年者取り消しが可能です(民法5条2項)」
ざっくりいうと「未成年者が交わした契約は取り消すことができる」というルールだが、これには例外もあるようだ。
「もっとも、(1)親権者の同意があった(民法5条1項)、(2)子どもが自分の小遣い銭(目的を定めて処分を許した財産)を処分した(民法5条3項)、(3)未成年者が、『自分は成年者である』とか『親権者の同意がある』などと相手を騙していた(民法21条)ときには取り消しができません」
返してもらえるかどうかを考える際、注意すべきポイントは、どのようなものなのだろうか?
「実際には、様々な要素によって、ケースバイケースで『取消』ができるかどうか異なってくると思われます。ポイントとなってくるのは、次のような要素でしょう。
(a)使っていた情報機器の所有者や通信契約の名義人、使用者がそれぞれ誰か
(b)親が情報機器の使用やゲームアイテムの購入について同意していたか否か
(c)ゲームやプラットフォーム(Apple、Google、GREE、Mobageなど)内で親の同意について確認があったか、あったとすればどのような確認方法だったか
(d)子どもの年齢
(e)ゲームやプラットフォーム内で年齢について確認があったか、あったとすればどのような確認方法だったか
(f)利用した金額
(g)アイテムを購入していた期間
(h)決済手段
(i)クレジットカード課金の場合、番号を入力したのが親か子どもか
(j)発覚のきっかけ
(k)利用日時から子どもが利用していたといえるか」
具体的には、こうした数多くのポイントを踏まえて、総合的に判断することになるようだ。
岡田弁護士は「親や消費者センターが『未成年者の利用があった』ということをゲーム会社に申し入れたところ、未成年者が利用していたとして課金が取り消された事案もあるようです。ただ、こうした判断は難しいものなので、弁護士等に相談されることを強くお勧めします」とアドバイスしていた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
岡田 崇(おかだ・たかし)弁護士
大阪弁護士会・消費者保護委員会委員(平成18年・19年度副委員長)、日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会幹事、関西大学法科大学院実務家教員(消費者取引法)
事務所名:岡田崇法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.jp