2013年12月22日 11:50 弁護士ドットコム
早起きして仕事をすることが、近頃とみにもてはやされている。本屋のビジネス書コーナーにも、「4時起き●●」など「早朝」と「仕事」に絡めたタイトルの本が数多く並んでいる。
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もちろん個人で勝手に仕事をするのは自由だ。ただ、会社によっては始業時間前に「朝礼」を行っているとか、「始業時間30分前には出社しなければならない」などといった、独自のルールがあるという話も聞く。
5分程度の短い朝礼なら、まだいいだろう。しかし、たとえば始業前の朝礼が20分~30分とかかるような場合、従業員は会社に「残業代」を要求できるのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。
「残業代は、始業時刻から終業時刻まで以外の『労働時間』における労働の対価として、支払われるものです。この場合の労働時間とは、『使用者の指揮命令下に置かれている時間』のことを意味します。
したがって、始業前の朝礼が、『使用者の指揮命令下に置かれている時間』であれば、残業代を請求できることになります」
河野弁護士はこのように話す。判断のポイントはどんな点だろうか?
「この場合の『指揮命令』は、黙示的なものも含むとされ、明示的な指揮命令がなくても、実質的に判断されます。
たとえば、もし『できれば参加』という形態の朝礼だったとしても、朝礼で伝達される業務報告を知らなければ業務に支障をきたすような場合や、朝礼の出席の有無が人事考課に影響を与える場合等は、黙示の指揮命令があるとみなされるでしょう。
こういった場合には、朝礼時間は『労働時間』に含まれ、残業代を請求できることになります」
逆に、残業とみなされない場合もあるのだろうか?
「たとえば、朝礼への出席が従業員の完全な自発的意思に基づくもので、その内容も業務の遂行と全く関係のないものであれば、労働時間には該当しません。したがって、残業代の請求はできないことになります」
ただ、普通に考えれば、職場で朝から業務と関係のない会合が開かれるとは思いにくいが……。
河野弁護士は「『できれば参加』という形態をとっている場合でも、重要な業務報告がなされるなど、黙示の指揮命令がある場合が多いのが現状のようです」としたうえで、「このような場合には、残業代は請求できることになります」と指摘していた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
河野 祥多(こうの・しょうた)弁護士
2007年に茅場町にて事務所を設立以来、個人の方の相談を受けると同時に、従業員100人以下の中小企業法務に力を入れている。最近は、ビザに関する相談も多い。土日相談、深夜相談も可能で、敷居の低い法律事務所をめざしている。
事務所名:むくの木法律事務所
事務所URL:http://www.mukunoki.info/