トップへ

ライトノベル新人賞受賞作の盗作騒動―作家からの申し出に出版社“ゼロ回答”で交渉決裂

2013年12月09日 15:31  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

ライトノベル新人賞受賞作の盗作騒動―作家からの申し出に出版社“ゼロ回答”で交渉決裂

ライトノベル『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』を巡る盗作騒動について、盗作された側とされる『天帝のはしたなき果実』作者の古野まほろさんは12月6日(金)、その後の動きについてTwitter上で報告した。


【元の記事はこちら】


この件については以前本媒体でもお伝えしたことがあるが、初めて知る方も多いと思われるため、改めてこれまでの流れを時系列で軽く説明しておく。


 
――12月2日(月)に紹介した記事までの出来事


11月15日(金):星海社主催の『星海社FICTIONS新人賞』受賞作、中村あきさん著『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』(以下:LLF)が発売される


11月15日(金)~23日(土)頃:インターネット上で、LLFが講談社主催の『第35回メフィスト賞』を受賞した古野まほろさん著『天帝のはしたなき果実』(2007年1月12日発売)に似てると指摘され始める。


11月23日(土):盗作された側とされる、古野まほろさんが自身のTwitterを通じこの騒動について戸惑いを吐露


11月26日(火):古野まほろさんがLLFの読後感想をTwitterに投稿。類似点が多いと説明。


11月29日(金):星海社公式サイトに今回の盗作騒動に関する見解が掲載される。LLFは他著作物を侵害していないと説明し、盗作ではないと強調。また、問題があればコンプライアンスに則って誠意ある対応をすると明記。


11月29日(金):古野まほろさんTwitterを通じてこの件について対応していく内容を告知。


 
以上が前回の記事までの流れになっている。そして前回記事掲載後となる12月6日(金)、古野まほろさんのTwitterを通じその後の動きが報告された。


報告によると、星海社とつながりのある“某出版社のH氏”(古野まほろさんの担当と説明)にこの件について相談。結果、H氏が仲介として立ち、交渉が進められることになったという。


その際のH氏と打ち合わされた交渉内容は「類似性についての説明」「(すりあわせの上)それらを公にすること」「新人である中村さんの名誉が尊ばれなければならないこと」「盗作説は古野の側から引き続き否定し続けること」「Hさん仲介による話し合いの結果は、必ず、翌週金曜日までに、古野に伝えられること」など、今回の騒動となった根本の説明要望から、新人作家である中村あきさんを気遣うものまで複数もりこまれた。


そしてH氏が星海社の社長と面談。H氏から「中村さんと古野のリスペクト関係が解って、お互いが更にいい関係になる様な、何らかの連絡がとれる方法・機会を作ってほしい」という申し入れに対し、星海社の社長からは「がんばってみます」という回答が得られたという。


 
▼古野まほろ広報室 @Mahoro_Furuno(12月6日投稿)
・月曜日 Hさんから星海社さんに、先の旨申入れ ・火曜日 Hさんが星海社の社長さんと面談。「中村さんと古野のリスペクト関係が解って、お互いが更にいい関係になる様な、何らかの連絡がとれる方法・機会を作ってほしい」と発言。社長さんが「がんばってみます」と発言されたと私に連絡あり。<引用ここまで>


 
ここで問題は一気に解決の方向へ進むかと思いきや、その後H氏からの引き続く星海社への働きかけに対し、12月5日(木)までに得られたのは「ゼロ回答」だったという。※“ゼロ回答”という表現は古野まほろさんのTwitter上にあるそのままを使用しています。
この件について古野まほろさんは、期限となる12月6日(金)に「私を無視することを決定された。」とその心中をTwitter上に投稿している。


なお、古野まほろさんがTwitterに投稿した、11月29日(金)以降の動きは時系列にすると次のとおり。


 
――11月29日(金)以降の流れ(参考:古野まほろさんTwitter)


11月30日(土):古野まほろさんから担当H氏に、星海社に対する交渉の相談が行われる。結果、交渉窓口としてH氏が動いてくれることが決定。
12月2日(月):担当H氏から星海社に対し交渉の申し入れ
12月3日(火):担当H氏と星海社社長が面談
12月4日(水)~5日(木):担当H氏引き続き星海社と交渉
12月5日(木)18時頃:担当H氏から報告。星海社からゼロ回答という内容が伝えられる。


 
一旦は収束するようにも見えた今回の騒動。「ゼロ回答」の発表以降、古野まほろさんのTwitterでは2つの作品の共通点が公開され始めている。
そのため、やはり問題長期化の向きが濃厚だが、盗作か盗作でないかの結論はさておいて、一旦交渉のテーブルに着いた星海社からの回答が、その後「ゼロ回答」というのはいただけない話。


星海社が発表した見解文にあるとおり「誠意を持った対応」こそ今最も望まれるものではないのだろうか。


 
■今回問題となっている2作品概要:
▼ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドック
・著者:中村あき
・発売日:2013年11月15日
・出版社:星海社(講談社100%出資)
・受賞:星海社FICTIONS新人賞


▼天帝のはしたなき果実
・著者:古野まほろ
・発売日:2007年1月12日
・出版社:講談社
・受賞:第35回メフィスト賞


■参考:
星海社お知らせ:弊社刊行物『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』に関する事実無根の「盗作」疑惑に対する弊社の見解につきまして
古野まほろ広報室 @Mahoro_Furuno