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流行語大賞「じぇじぇじぇ」が商標出願されている!? 無関係な会社でも登録できる?

2013年12月03日 11:51  弁護士ドットコム

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この一年、話題になった言葉に贈られる「ユーキャン新語・流行語大賞」が12月2日、発表された。「豊作」だった今年は史上初めて4語が大賞を受賞したが、そのうちの2語、「じぇじぇじぇ」と「倍返し」は人気ドラマのセリフだった。だが、この流行語がドラマとは直接関係のない会社によって「商標出願」されており、注目を集めている。


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まずは今年度上半期に話題をさらったNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』の「じぇじぇじぇ」。主人公・天野アキが驚いたときに使い、大流行した方言だが、ロケ地となった岩手県久慈市の老舗菓子店が5月、これを特許庁に商標出願していたというのだ。



また、7月から9月にかけて放映され、最終回で40%を超える驚異的な視聴率を達成した『半沢直樹』(TBS系)の名セリフ「倍返し」も、大手食品メーカーから9月に商標出願されていた。対象商品は「菓子」「パン」「調理済みの冷凍そば」など25品にわたるという。



そもそも、商標出願とはどんな制度なのだろうか。このように番組制作や原作とも関係のない会社が、ドラマの名セリフを自社商品の商標として出願した場合、それが認められる可能性はあるのだろうか。知的財産権にくわしい南部朋子弁護士に聞いた。



●商標登録されれば、商標を「独占的」に使えるようになる


「商標とは、商品やサービスについて、その出所を示したり、品質を保証したり、商品やサービスを広告するのに使われるものです。



たとえば『UNIQLO』は、株式会社ファーストリテイリングが被服などの商標として使っており、『クロネコヤマトの宅急便』は、ヤマトホールディングス株式会社が展開する輸送サービスなどの商標として使われています。いずれも各社の登録商標です」



つまり、特定のブランドを象徴する名前や記号、というイメージだろうか。商標の「出願」や「登録」とは何なのだろうか?



「商標登録とは、特許庁に商標を出願し、登録してもらう制度です。出願のときは、登録を希望する商標と、その商標を使う商品(指定商品)やサービス(指定役務)を明らかにする必要があります。登録が認められれば、その商標を、指定商品や指定役務について独占的に使うことができる『商標権』を得ることができます。



この商標権を持っている人は、『商標権者』として、自分以外の人や会社にその商標を指定商品や指定役務について使う許可を与えることができ、逆に使わせないことも可能です」



つまり、いったん誰かに「商標権」が認められた場合、それ以外の人は勝手にその商標を使えなくなるということだ。



テレビで大流行した言葉を、無関係の会社が出願・登録してもいいのだろうか?



●商標出願は「考え出した人」でなくても可能


「商標出願は、その商標を『考え出した人』以外でもできます。原則として発明者が出願する資格を与えられる特許や、作品の創作者に与えられる著作権とは、この点で違います。



つまり、商標の場合、出願する人がドラマ番組や原作と無関係だったとしても、そのドラマの名セリフを自社商品の商標として出願すれば、商標登録がなされる可能性があります」



そういうルールだとすれば、名セリフの考案者や流行の立役者がそれを使えなくなるような、本末転倒なことがおきてしまうケースもあるのだろうか? そんなことが起きたら、それこそ「じぇじぇじぇ」なのだが。



「もっとも、商標登録は、申請すれば必ず認められるわけではありません。



たとえば、特許庁が、商標が使われる商品やサービスの出所が混同されるおそれがあると判断した場合には、商標登録は認められません。



もう少しかみ砕いていうと、A社が申請した商標の商品が、B社の商品であると消費者などから誤解されるおそれがあると特許庁が判断すれば、商標登録は認められないということです」



つまり、ドラマの有名フレーズを他人が商標登録しようとしても、それが認められるとは限らないということだ。今回出願された「じぇじぇじぇ」や「倍返し」の登録が認められるのか、特許庁の対応に注目したい。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
南部 朋子(なんぶ・ともこ)弁護士
著作権法、商標法など知的財産法や国際取引をめぐる法律問題を担当している。ロボットをめぐる法律問題についても研究中。主な著書に『図解入門ビジネス 最新 著作権の基本と仕組みがよ~くわかる本(第2版)(秀和システム)(共著)』。

事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/