2013年11月21日 19:10 弁護士ドットコム
「パートナーの浮気が発覚」というシチュエーションは、夫婦が迎える大きな修羅場だ。浮気が原因で結婚生活が破綻し、離婚に至るケースは数多い。慰謝料などでもめて、裁判に発展することもある。
【関連記事:カフェに居座る「迷惑客」 店に頼んで追い出してもらえるか?】
裁判で浮気の慰謝料を請求する場合、相手が浮気していた「証拠」が大事だと言われる。パートナーに追及されて、いったんは浮気を認めても、裁判になると「浮気はしていない」と否定するケースもあるからだ。
ひとくちに証拠といっても、メールや通話記録から、浮気現場の写真まで、いろいろありそうだ。「浮気の証拠」は、どの程度まで必要なのだろうか。離婚問題にくわしい小澤和彦弁護士に聞いた。
「その証拠が『かたい』と言えるかどうかを判断する際には、それに対して相手方がどのような言い訳をしてくるかを想定することが重要です」
言い換えれば、裁判では「言い訳できない証拠」がほしい、ということだろう。どんな証拠は反論がされやすいのだろうか。
「浮気を認める発言は、なかったことにされがちです。念書的なものを書かせても、裁判になると『相手にしつこく言われて面倒になってサインした』などと、反論されることがよくあります。
また、携帯電話の大量の着信・発信記録などは、怪しいとはいえますが、浮気の証拠としては難しいと言えます。たとえば、相手方に『とある件で相談に乗ってあげていただけ』などと反論された場合、会話内容の録音でもない限り、それを否定できないからです」
逆に反論がされにくい証拠は、どんな内容なのだろうか。
「一方、メールやFacebook、LINEなど、ネット上でのやりとりは、よく証拠として提出されます。その中で浮気行為に触れていたり、『愛してる』『会いたい』などの文章が含まれていれば、浮気の証拠となるでしょう。
こういった証拠に対しても、『そのようなやりとりをしただけ(実際の浮気行為はしていない)』などと言い張る人がいますが、なかなか、裁判官には信用してはもらえないでしょう」
これがあれば「相手はぐうの音も出ない!」という証拠は?
「やはり、なんと言っても、直接的に浮気の現場を押さえた写真やビデオがあれば、それは証拠として『かたい』と言えます。
こうした証拠に対しても、『1回きりだった』とか『お酒に酔っていてよく覚えていない』などという言い訳がされることはあります。しかし、『偽物だ』『合成だ』などとして、『証拠として無効である』という反論がなされる例は、ほとんどありません」
写真やビデオなどの証拠は、どうやって手に入れればいいのだろうか? 小澤弁護士は次のようなアドバイスを送っていた。
「こうした証拠は通常、浮気をした人が遊び半分でスマホに記録したといったようなことがない限り、探偵等に依頼して入手しなければなりません。
その場合も、必ず証拠を押さえられるとは限りません。証拠が手に入る確率を計算し、費用対効果を考えたうえで、判断すべきでしょう」
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
小澤 和彦(おざわ・かずひこ)弁護士
第二東京弁護士会多摩支部 両性の平等委員会委員、東京都西東京市男女平等参画推進委員会委員
事務所名:弁護士法人東京多摩法律事務所
事務所URL:http://tokyotama-lawfirm-rikon.jimdo.com/