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会社のトップは社長?CEO?それとも代表取締役? それぞれの違いはどこにある?

2013年11月19日 14:30  弁護士ドットコム

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季節が秋から冬へと移りつつあるなか、大学3年生たちの「就活」ムードも高まりを見せている。大手企業の多くは12月1日にエントリーを解禁するため、12月から本格的な就活シーズンに入るといってよさそうだ。


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就職活動で重要なのは「敵を知る」こと。自分が受けようとする企業のウェブサイトを見て、どんな会社なのかを知るのは基本中の基本だ。そのウェブサイトには、「会社の一番偉い人」によるメッセージが載っていることも多い。だが、その「一番偉い人」の肩書きは、「社長」だったり、「CEO」だったり、「代表取締役」だったりとまちまちだ。



はたして、「社長」と「CEO」と「代表取締役」は、その意味に違いがあるのだろうか。それとも、「主将」と「キャプテン」のように呼び名が異なるだけで、意味は同じなのだろうか。企業法務にくわしい今井俊裕弁護士に聞いた。



●会社法上重要なのは「代表取締役」


「『社長』と『CEO』と『代表取締役』という3つの肩書きのなかで、会社法で定められているのは、『代表取締役』だけです。似てはいますが、厳密にいえばそれぞれ違う概念です」



今井弁護士はこのように切り出した。それぞれ、どのようなものなのだろうか。



「そもそも株式会社とは、金は出すが経営の素人である株主集団が、経営のプロである取締役にがんばって業績を上げてもらい、最終的には自分たちが株の配当や売却で儲けよう、というシステムです。



『代表取締役』は、取締役のなかで、その会社を代表する資格を持っている人です。代表資格を持つのは、多くのケースでは取締役の一部、または一人だけですが、なかには取締役全員が代表取締役という会社もあります」



「代表」取締役の役割は、会社を代表して契約をしたり、会社の業務を執行することだという。今井弁護士は続けて、会社法の「執行役」について解説してくれた。



「日本にも、米国型の株式会社のように、取締役会では経営の大枠だけ決めて、個々の業務戦略や業務執行は執行役と呼ばれる人に任せる、という制度をとる会社があります。



これは、経営の大枠の決定と業務執行を分離して、めまぐるしく変わる経営環境に迅速に対応していこう、という考え方に基づいた制度です。



米国の会社では執行役のうち、最高責任者をCEOと呼びます。これは、日本の法律にはない概念です」



●「社長」や「CEO」は法律上の名称や地位ではない


言い換えると、日本の会社のCEOは、「会社が自主的にそのような名称を使用しているだけで、法律上の名称や地位ではない」ということだ。「なんだ」と思ったかもしれないが、実はこれ、「社長」や「会長」などの役職でも同じことだという。



「社長や会長も法律ではなく、会社の定款(会社が独自・自主的に決めた根本規則)で決められた地位です。



社長は通常、代表取締役の地位を有していることが多く、会長とは、その社長を退いた人であることが多いのですが、会長が代表取締役の地位を有しているかどうかは、会社によってまちまちです」



少し意外な気もするが、社長や会長といった肩書きは、法律で決められた地位ではなく、あくまで会社が定款で自主的に定めた地位に過ぎないということだ。そんな点に注意しながら、会社のウェブサイトを見てみるとよいだろう。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
平成11年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における個人情報保護運営審議会、開発審査会の委員歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp