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「エヴァ」の貞本義行さん降臨!「周南萌えサミット2013」完全レポート

2013年10月31日 14:11  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

「エヴァ」の貞本義行さん降臨!「周南萌えサミット2013」完全レポート

10月27日に山口県周南市で「周南萌えサミット2013 ~サードインパクト~」(以下:萌えサミ)が開催された。3年目を迎える今年のスペシャル企画は、同市出身の貞本義行(キャラクターデザイナー)さんと福田靖さん(脚本家)の同級生トークショー。


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■サブカルチャーでまちづくり


「周南萌えサミット」は公益社団法人周南青年会議所(周南JC)が「周南をサブカルチャーでまちづくり」と題してマンガ、アニメ、アイドル、アニソンライブ、コスプレ、痛車などさまざまなサブカルチャーによって街の活性化に繋げようと2011年に初めて企画され、今年で3年目を迎える。


周南市は平成の大合併により2003年4月に徳山市、新南陽市、鹿野町、熊毛町が合併して生まれた市。「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザイナーでおなじみの貞本義行さんは旧徳山市の出身で、「貞本義行氏が生まれ育ったまち」として萌えサミをアピールしている。


イベントのタイトルは「萌えサミット」となっており、「萌え」というキーワードが入っているため、二次元大好きと思われている典型的な”オタク”をイメージされがちだが、「萌えサミット」での「萌え」とはそういうイメージの内容ではなく、マンガ、アニメ、ゲーム、アイドル、ミリタリーなど「サブカルチャー大集合!」といったところ。


 
■貞本義行×福田靖スペシャルトークショー


14時からは、講演会やトークなどにはほとんど出演しない貞本さんが登壇するばかりか、大河ドラマ「龍馬伝」などで知られる脚本家・福田靖さんとの対談が行われた。お二人は共に地元出身で小中高の同級生でもある。
滅多に見られないお二人のトークショーとあって、注目度も高く多くの来場者が見られた。


トークショーは、MCに1986年から続くエフエム山口でアニラジ番組「ウキウキ放送局!零-ゼロ-」のDJを務め、サブカルチャー全般に造詣の深い水谷寛アナが登壇。あわせて萌えサミの主催者である周南青年会議所を代表して今治総一郎さんも登壇し、4人で行われた。


貞本さんは学生時代から「DAICON FILM」のメンバーとして日本SF大会のオープニングアニメーション製作などで活躍していたが、デビュー作がヒットせず、その後30歳までほとんど収入がなかった時期があったことを告白。
一方、福田さんも、劇団の主宰を務める中で舞台を見た人から脚本家としてスカウトされた経緯から、35歳ごろまでは生活が不安定な時期があり、ともに遅咲きであったという。


そんな二人が再会を果たすきっかけとなったのはドラマ「HERO」。貞本さんは、福田さんが脚本を手がけたことを知りびっくりしたと言う。その頃、福田さんも時を同じくして都内の書店で貞本さんのコーナーができ「先生」と呼ばれていたことを知ったという。既に売れっ子だったお二人は再会の機会を窺うものの夜はスケジュールがあわず、昼間からファミレスで酒をのみながら40年間を振り返り話し合ったとのこと。


街の移りかわりを聞かれた場面では、貞本さんは「高校時代に比べてずいぶん静かになった」と感想を語った。


途中、過去の萌えサミの出演オファーを断っていた貞本さんは、その理由について「自分は全然『萌え』じゃないから」とキッパリ。これには今治さんが「『萌えサミット』という名前に後悔している」と返す一幕も。
また、周南市を舞台に脚本を福田さん、キャラデザを貞本さんでアニメーションができればとの話題も上がり、今後の周南萌えサミットや周南市にとって新しい一歩が踏み出せそうな雰囲気を感じられる場面もあった。


最後に、故郷へのメッセージを求められると、福田さんは「自分の好きなことを信じ続けて欲しい」、貞本さんは「諦めずに好きなことをやり続けて欲しい」「子どもをほめて才能を伸ばして欲しい」と、自身のこれまでを振り返りながら来場者にエールを送った。


トークショーの中では、イラストコンテストの貞本義行賞と福田靖賞もあわせて発表された。なお、内容の一部はTwitterでも中継されており、萌えサミ公式キャラクター「まわり みなみ」のアカウントやハッシュタグ「#moesami」「#萌えサミ」を追っかけて欲しい。


 
■少女漫画の草分け的存在のトークショーなども同時開催


この日は貞本さん、福田さんの対談以外にも、山口県を代表する少女漫画の草分け的存在である水野英子先生(山口県下関市出身)と文月今日子先生(山口県下関市在住)の対談や、株式会社アサツーディ・ケイのアニメプロデューサー 生田英隆さんのトークも行われ、漫画やアニメの業界に関わる先生からの直接話を聞くことができた。
これらのトークショーは、マンガ・アニメ・メディアデザインなどの知財を学ぶことができる学科を持つ徳山大学の協力により実現された。


 
■萌(も)りだくさんのサブカルチャーイベント


萌えサミではこのほか、アニソンクラブイベント「animazione!(アニマティオーネ) 山口」のステージでの屋外スペシャルライブ、ご当地アイドルの「10COLOR’S」「30POSSE」「山口活性学園」のステージパフォーマンス、自衛隊車両や痛車の展示、県内在住の絵師うえだのぶさん、すなだみどりさん、とだかづきさん、りおたさんによる似顔絵コーナー、イラストマーケット、アフレコ体験などのさまざまなブースが展開さたり、TINAMIとのコラボレーションによるイラストコンテストと投票が行われ、コスプレを楽しむファンも多く来場していた。
公式グッズの販売も今年はTSUTAYAの協力により行われ、イベントが拡大していっていることがわかる。
さらに、エヴァ監督でおなじみの庵野秀明の出身地、山口県宇部市で展開中の「アンノヒデアキノセカイ」の紹介ブースも設けられ、そこでは等身大の綾波レイが来場者の注目を集めていた。県内の「聖地」同士の連携が行われたのも今年が初めてのこと。


 
■まとめ


萌えサミは年々イベントの規模や参加者が拡大しており、まちづくりのひとつの形として定着しつつある。地方でこれだけの規模のイベントが企画できるのは素晴らしいことで、3年目を迎える今年はテーマでもある貞本さんを初めて迎えることができ、まさに「サードインパクト」が起こせたと言えると同時に、新たなスタートラインに立ったところでもあるといえる。
関係者によると既に来年に向けて検討が始まっているとの情報もあり、来年は「フォースインパクト」(?)が起きるに違いない!
今後は単なるイベントから、人が集まり地域に活力が生み出されるという意味での「まちづくり」の新たなムーブメントへとさらにシフトしていくことを、いちファンとして参加しつつ見守っていきたい。二の足を踏んでいた人は、是非、来年の周南萌えサミットに参加してみるといいだろう。


参考:
周南萌えサミット2013 ~サードインパクト~
周南青年会議所
萌えサミット公式キャラクター「まわりみなみ」Twitterアカウント


(取材:y3sei)


※見出しの男性コスプレイヤーは誠に遺憾ながら本稿を担当いたしました記者です。お目汚し謹んでお詫び申し上げます。(編集長)