レインフォレスト・アライアンスは国際的な非営利団体で、発展途上国の貧困の解消や農家の支援を目的として、コーヒーをはじめとした様々な農産物や森林資源製品に対してレインフォレスト・アライアンス認証マークを発行している。つまり、企業にとって、このマークがついている商品はCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)に取り組んでいるという証拠になる。(なお、フェアトレードと似たようなミッションや目標を掲げてはいるものの、活動の重点項目や戦略は異なるそうだ) さらに、このレインフォレスト・アライアンスは、コーヒーなどの最低価格を定めない市場主導型のシステムだと、マクドナルドの担当者は考えている。ウッドマン氏はここに、陰の部分を指摘する。確かにマクドナルドは、コーヒーの価格に加えて割増金を支払うことを約束しているが、最低価格を保証していないということは、世界のコーヒー市場の価格が急落しても、マクドナルドが損をするわけではなく、生産者に支払う価格が下落するということになる。
このロゴがカップにつくことで、マクドナルドはコーヒーの売り上げを25%上昇させた。ウッドマン氏は「巧みなマーケティング手法だ」としながら、胸にわだかまった疑念を拭えずにいた。
本書の原題は“UNFAIR TRADE: The Shocking Truth Behind ‘Ethical’ Business”。和訳すると「エシカル(環境や社会に配慮した)なビジネスの裏に隠された衝撃の真実」という、とても挑戦的な意味になる。
ウッドマン氏のフェアトレードに対する追求の仕方は極めてジャーナリスティックであり、だんだんと真実に近づいていく様子も読みどころの一つだ。
(新刊JP編集部)