2013年10月14日 16:30 弁護士ドットコム
ドラマ「半沢直樹」を思い起こさせるような「銀行の闇」が明らかになり、大きな問題となっている。みずほ銀行が、「反社会的勢力」との多数の取引を長いあいだ放置していたとして、金融庁から業務改善命令を受けたのだ。
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金融庁によると、みずほ銀行は、信販会社による審査・保証を条件に資金を貸し付ける「提携ローン」において、反社会的勢力との取引を多数行っていた。しかし、その問題を把握した後、2年以上も取引の解消や防止などの抜本的な対策を行なわなかったという。金融庁は経営・内部管理や法令遵守の態勢に「重大な問題があった」と指摘し、責任の明確化や実効性のある再発防止策などを求めた。
同行は10月28日までに業務改善計画の提出を義務づけられるなど、対応に追われているが、そもそも「反社会的勢力」とは、どのような存在なのだろうか。明確な定義はあるのだろうか。関東弁護士会連合会・民事介入暴力対策委員会の委員をつとめる冬木健太郎弁護士に聞いた。
「反社会的勢力とは、暴力や威力、詐欺的手法を用いて、経済的利益を追求する集団や個人のことをいいます。暴力団、えせ右翼、えせ同和、フロント企業など、様々な例があります」
冬木弁護士は「定義」について、このように説明する。
つまりここでは、暴力や詐欺などによって金儲けをする集団・個人のことを「反社会的勢力」と呼んでいるということだ。企業はそういった勢力に対して、どう対応しなければならないのだろうか。
「企業は、反社会的勢力との関係を一切絶たなければなりません。
反社会的勢力は、警察の取り締まりを免れるために、企業活動・政治活動を装って、さまざまな手口を用いて市民・企業から資金を獲得しようとくわだてます。
そして、その獲得した資金は、暴力団などへと流れていきます。反社会的勢力に対して、法律に則って対応し、不当な利益を与えないということは、コンプライアンス(法令順守)そのものといえます」
狙われた側はある意味「被害者」にも思えるが、企業がそういう意識でいることは、もはや許されないようだ。冬木弁護士は次のように強調していた。
「現在、多くの市民が勇気を出して反社会的勢力と対峙している状況の中で、ある企業が反社会的勢力と取引があるということが明るみに出れば、その企業はそれだけで大きなマイナスダメージを得ることになるでしょう。
また、反社会的勢力は、企業で働く従業員に対しても不当な要求を行いますし、企業そのものを乗っ取ろうとさえします。反社会的勢力と関係を持つということは、企業にとって、大きな損害となるのです。
企業は、その社会的責任からも、また、自らを守るためにも、絶対に反社会的勢力との関係を絶たなければなりません」
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
冬木 健太郎(ふゆき・けんたろう)弁護士
横浜弁護士会所属。関東弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員。横浜弁護士会民事介入暴力対策委員会委員。横浜弁護士会法教育委員会委員。
事務所名:冬木健太郎法律事務所
事務所URL:http://fuyuki-law.jp