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終わらない「閉店セール」 消費者を欺く「誇大広告」ではないの?

2013年09月27日 15:10  弁護士ドットコム

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「閉店セール」と聞くと、ついつい安い気がして足を止めてしまうもの。だが、何度も通りかかるうちに「この店、いつでも閉店セールをしているな……」と気づいたことはないだろうか。


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ありがちなのが、時計やアクセサリーを千円で売っている「閉店セール」だ。在庫一掃とばかりに「本日閉店です!店内どれでも全品千円!」と声を張り上げる店員に釣られてか、いつも人だかりができている。近隣では「いつでも閉店セールの店」としてお馴染みだとしても、中にはそうと知らず「いま、購入しなければ」と焦って買う人もいるだろう。



こういった店は全国各地にあるようだ。業者にどんな言い分があるのかはわからないが、「いつでも閉店セール」は法律上、何の問題もないと言えるのだろうか。詐欺や誇大広告にならないのだろうか。消費者問題にくわしい前島申長弁護士に聞いた。



●景品表示法は「不当表示」を禁止している



「本件のように、事業者(販売店)が、本当は店じまいをする意思がないにもかかわらず、あたかも店じまいをするかのごとく装い、在庫一掃の安売りセールである旨を表示して、大量の客足を呼び込む商法を『閉店商法』といいます」



このような閉店商法に対する規制として、景品表示法があげられるという。



「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の4条1項2号では、事業者が、自己の提供する商品・サービスなどの取引で『不当表示』をすることを禁じています。すなわち、価格などの取引条件について、『実際のものよりも著しく取引の相手方に有利であると誤認される表示』をして、不当に顧客を誘引することを禁止しています。そのような表示は、一般消費者の自主的で合理的な選択を阻害する恐れがあるからです」



では、終わらない「閉店セール」は、景品表示法で禁止された「不当表示」にあたるだろうか。



「閉店セールは、社会通念上、一般消費者に『閉店までの一定期間のみ特別な値引きが行われている』との認識をもたせるといえます。つまり、購入価格という取引条件について、『閉店セールの期間だけ特別な価格で商品を購入できる』との誤認を与えることになりますので、不当表示(有利誤認表示)に該当する可能性があります」



このような「閉店商法」に対しては、行政側が動く場合もあるという。



「事業者による悪質な閉店商法が発覚した場合には、消費者庁による措置命令(誤認の排除・再発防止策の実施など)が発せられる場合があります」



閉店商法は「不当表示」にあたる場合もあるということだから、もし自分の近所に目に余るような「閉店セール」をおこなっている店があったら、消費者庁に連絡するという手もあるかもしれない。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
前島 申長(まえしま・のぶなが)弁護士
前島綜合法律事務所代表弁護士 大阪弁護士会所属
交通事故・労災事故などの一般民事事件、遺産分割・離婚問題などの家事事件の他に、高齢者詐欺・インターネット詐欺など消費者被害事案を多く扱う。
事務所名:前島綜合法律事務所
事務所URL:http://maeshima.lawer.jp/