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なぜ歌手は暴力団パーティーで歌ってはいけないのか――暴排条例の「利益供与」とは?

2013年09月24日 14:30  弁護士ドットコム

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暴力団主催のパーティーで歌を披露したことが「利益供与」にあたるとして、60代の男性歌手がこのほど、東京都公安委員会から都暴力団排除条例に基づく中止勧告を受けた。報道によると、この男性歌手は今年5月、指定暴力団稲川会系組長が開いたパーティーで歌を2~3曲披露。10万円の謝礼を受け取ったという。


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芸能人が同条例の中止勧告を受けるのは初めてだというが、そもそも「利益供与」というのは具体的にどのような行為を指すのだろうか。歌をうたうことが利益供与に当たるなら、一般人がカラオケをするよう求められ、断り切れなかったようなケースでもそうなってしまうのだろうか。民事介入暴力問題にくわしい高島秀行弁護士に聞いた。



●暴力団排除条例の「利益供与」とは「暴力団の活動を助長する行為」のこと



「東京都だけでなく、各都道府県は、いわゆる『暴力団排除条例』で、暴力団に対する『利益供与』を禁止しています。暴力団に対する『利益供与』とは、暴力団の活動を助長する行為のことを言います。



典型的な例としては、暴力団にみかじめ料を払うとか、組事務所のために事務所を貸すなどの行為が挙げられます」



それでは、今回の件に当てはめると、どうなるのだろうか。



「今回の件は、暴力団のパーティー(活動)を、プロの歌手が歌うことで盛り上げた(助長した)から『利益供与』に当たる――。そう判断されました。



一方、一般人がスナックなどで、同席した暴力団員に要求されてカラオケで歌ったとしても、『利益供与』とはなりません。暴力団の活動で歌ったわけではないからです」



●暴力団の有料パーティーに参加すれば、それ自体が「利益供与」になる



それでは、一般人でも暴力団のパーティーで歌えば、話は別なのだろうか。



「仮に、暴力団のパーティーで一般人が歌った場合はどうでしょうか。プロの歌手ではないので、歌ったことでそれほど暴力団の活動は助長されないと思いますから、『利益供与』には該当しないと思います。



しかし、一般人が暴力団のパーティーに会費を支払って参加することは、それ自体が『利益供与』に該当します。それは文字通り、暴力団に資金提供をすることにより、『暴力団の活動を助長する』と言うことになるからです」


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
高島 秀行(たかしま・ひでゆき)弁護士
「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載され、「企業のための民暴撃退マニュアル」「訴えられたらどうする」「相続遺産分割する前に読む本」(以上、税務経理協会)等の著作がある。ブログ「資産を守り残す法律」を連載中。http://takashimalawoffice.blog.fc2.com/
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com