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秋田書店問題―元社員が出社してない期間も不正が継続されていたナゾ

2013年09月12日 14:11  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

秋田書店問題―元社員が出社してない期間も不正が継続されていたナゾ

秋田書店が読者プレゼントの水増しをしていた問題で、内部告発をし後解雇された元社員の女性は11日、同社を相手取り解雇撤回などを求め東京地裁に提訴、そして記者会見を行った。


【元の記事はこちら】


今回の問題は秋田書店が発行する一部漫画雑誌の読者プレゼントで、実際に用意した数より多く掲載していた、いわゆる「水増し」行為に端を発している。また当選者発表の際には、実際にはいない人物の名前を掲載していたという。


訴えを起こした元社員によると水増しは組織ぐるみで行われていたとし、解雇されたことについては「ぬれぎぬを着せられ不当に解雇された」と主張。なお、プレゼント水増し問題では、秋田書店には8月20日消費者庁から「景品表示法に基づく処置命令」が出されている。


今回の件については、以前から度々と話題になっているが、秋田書店側と元社員の女性側とでは主張が大きく異なる。


以下でそれを紹介する。


――二つの言い分


▼秋田書店側
元社員は、あたかも社内の不正を指摘し、改善を訴えたために解雇されたなどと主張しておりますが、解雇の理由は、元社員が賞品をほしいままに不法に窃取したことによるものです。


(参考:秋田書店8/21発表 http://www.akitashoten.co.jp/news/201)


▼元社員側
・プレゼントの水増しは会社からの指示で組織ぐるみでおこなわれていた
・私個人に不正水増しという罪をなすりつけて懲戒解雇を行った


(参考:9/11記者会見、8/21毎日新聞記事 http://mainichi.jp/select/news/20130821k0000e040255000c.html)


見てお分かりのように二つの意見は食い違っている。意見を訳すると、「プレゼント水増しの原因」についてはこう主張していることになる。


――「プレゼント水増し」の根本原因


▼秋田書店側
物はあったが元社員が窃取したため実際には少なくなってしまった


▼元社員側
物はないが会社からの指示で数を増やして掲載していた


秋田書店の発表文では今回のプレゼント水増し問題は、元社員が「不正に窃取」(窃取=盗み取ること)したことが原因と読み取れる、だが秋田書店が8月20日に公式ホームページ上に掲載した文書によると不正がったのは平成22年(2010年)6月号(5月)から平成24年(2012年)5月号(4月)までの期間とハッキリ認めている。
(参考:秋田書店8/20発表 http://www.akitashoten.co.jp/news/200)


ただし、実際には元社員は2011年9月から休職状態にあり以降の業務には関わっていない。しかもこの元社員には2012年2月29日に秋田書店から解雇通知が届けられている。


わかりにくいので以下で説明すると


――元社員の動きと秋田書店が認める不正期間


▼元社員の動き
・2011年9月休職
・2012年2月29日元社員に秋田書店から解雇通知が届く


▼秋田書店が不正を認めている期間
・2010年5月~2012年4月


つまり元社員が出社していない期間にも半年以上継続して「プレゼントの水増し」が行われていたことになり、元社員の「組織ぐるみで行っていた」という主張に信ぴょう性が高まる。


――元社員の「窃取」が事実ならなぜ被害届を出さない?


秋田書店の言い分がもし本当だとするならば、原因は「窃取」。警察に被害届をだすことも充分に可能になってくる。
また、今回の不正は元社員がいない期間も継続されており、共犯がいる可能性が高い。


それに被害届が受理され、きちんと捜査が行われれば、その段階で今回訴えを起こした元社員の家宅捜索も予想される。
家宅捜索さえあれば、秋田書店が主張する「不法に窃取」したプレゼント品がでてくるかもしれないし、もしなかったしても何らかの転売記録などは残っている可能性がある。しかも、被害届を出すことで、秋田書店側の毅然とした対応を世間に知らしめることにもなり一挙両得。


確実に秋田書店にとっては有利になる事なのになぜしないのだろうか?


もしかすると元社員に対する「温情」なのかもしれない。
ただ、ここまで騒ぎが大きくなった以上、秋田書店の主張が事実ならば厳正な対応が求められることになるだろう。
色々と不思議なことが多いこの問題。次の秋田書店からの発表に大きく注目が集まる。


※一部表現を変更しました。(9月12日15:16)


【追記】
本稿は、秋田書店の公式ホームページに掲載されている「公式情報」と確定できる発表資料及び、その中で紹介される毎日新聞の記事のみ参考に書いた考察文です。各情報元は本文中に掲載しております。(追記:9月13日15:27)