2013年09月10日 21:30 弁護士ドットコム
実は長男が生まれていた――。7月下旬の参議院選挙の直後に離婚が発覚した山本太郎参院議員だが、今度は、当選した日に長男が誕生していたことが判明した。報道によると、子どもの母親は、元妻とは別の女性。山本議員は子どもを「認知」しているが、結婚はしていないという。
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この「認知」、有名人に婚外子がいたことが発覚すると必ず話題となるが、産まれてきた子供を「認知する」のとしないのでは、何が違うのだろうか。また、今はDNAなどで実の子だと証明できそうなものだが、そういう場合でも「認知しない」というケースはあるのだろうか。中川みち子弁護士に疑問をぶつけてみた。
●「認知」すれば、養育費を支払う義務が発生する
「認知とは、法律上の婚姻の外で子どもが生まれた場合に、親であると認めることです。認知届を出すことで法律上の親子関係ができます。母親は、出産により親になるため、認知は父親が行うことになります」
このように中川弁護士は、「認知」の意味について説明する。
「親には子どもに対する扶養義務があるので、認知すれば『養育費』を支払う義務が生じます。また、認知された子どもは、親が亡くなったときに『相続人』となります」
では、父親が認知しない場合はどうなるのだろうか。
「父親が認知を拒むことがありますが、そのときは『認知せよ』という調停や訴えを起こすことができます。DNA鑑定などで親子関係が認められれば、認知を拒んでも、裁判で親子関係を認定されるでしょう」
つまり、父親が認知しなくても、親子関係が認められる場合があるということだ。では、認知したあとの戸籍の処理はどうなるのか。
●今後は、「認知」がもっと一般的になる可能性がある
「婚姻外で生まれた子どもは原則として、母親の戸籍に入ります。認知された場合は、認知した父親が記載され、父親の戸籍にも、認知した子がいることが記載されます。子どもは裁判所の許可を得て父親の氏に変更した上、父親の戸籍に移ることも可能です」
「認知」を受けた子は、いわゆる「婚外子」ということになるが、かつてに比べ、世間の見方も変わりつつある。そのような時代の変化について、中川弁護士は次のように述べている。
「最近は、法律婚でなく事実婚を選択する男女が増えているため、今後は『認知』がもっと一般的になるかもしれません。また最高裁判所が、婚姻外の子の相続割合を差別することは憲法違反だと判断したため、今後、婚外子の戸籍の記載なども変更される可能性があります」
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
中川 みち子(なかがわ・みちこ)弁護士
社会人経験を経たのち大阪大学法学部を卒業、平成17年10月弁護士登録。大阪弁護士会、司法委員会・交通事故委員会委員。離婚・相続・親子関係・成年後見など家事事件と交通事故事件を得意分野とする。
事務所名:きらり法律事務所
事務所URL:http://kirari-law.com