2013年09月03日 16:30 弁護士ドットコム
電車で寝てしまって、目が覚めたら目的の駅を過ぎていた――。電車をよく使う人なら、誰でもそんな経験があるのではないだろうか。1駅や2駅ならまだ良いほうで、終点まで寝過ごしてしまったという話も聞く。仕事や学校で疲れているときの電車での睡魔は、抗いがたいものなのかもしれない。
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電車で乗り過ごしてしまった際、気になるのが「運賃」だ。特に気にもとめず反対方面の電車に乗り込む人も多いだろうが、折り返した分は支払わなくてはならないような気もする。こうした場合には、運賃を追加で支払う必要があるのだろうか。鉄道にくわしい前島憲司弁護士に聞いた。
●「誤乗」が認められれば運賃を払う必要はない
「電車でうっかり乗り過ごしてしまうことを『誤乗』と言います。誤乗の場合の運賃徴収については、各鉄道会社はそれぞれルールを設けているのが普通です」
――具体的にはどんな風に決まっている?
「たとえば、JR東日本の旅客営業規則には、『乗車券面に表示された区間外に誤って乗車した場合』の決まりがあり、一定の条件を満たした上で、係員が誤乗と認めれば折り返した分は支払わなくていいということになっています」
――どんな場合に「誤乗」を認めてくれる?
「それは、現場係員の裁量になりますが、常識的な判断をしてくれることがほとんどのようです。乗り過ごした場合は係員に申告しましょう。
ただし、説明が不自然な場合、たとえば昼間に長時間・長距離を寝過ごした……などと言っても信用性がなく、誤乗と認めてくれないことがあります。注意が必要です」
電車内での寝過ごしはよく起きるだけあって、「誤乗」という専門用語まであるようだ。折り返しにはどの列車が使えるかなど、他にも細かなルールがあるので、もし乗り過ごしたら、速やかに係員へ相談すると良いだろう。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
前島 憲司(まえじま・けんじ)弁護士
横浜弁護士会・就業問題対策委員会委員。裁判所書記官として10年以上勤務した経験がある。鉄道模型や全国の鉄道を乗りつぶすことが趣味。中国、インド、キューバなど海外に蒸気機関車の写真を撮りに行ったことは10回以上。
事務所名:弁護士法人前島綜合法律事務所
事務所URL:http://www.law-maeken.jp