2013年08月15日 11:51 弁護士ドットコム
「原野商法の2次被害が広まっている」——国民生活センターは、原野商法をめぐるトラブルの相談件数が過去最高水準で推移しているとして注意を呼びかけている。
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「原野商法」とは、「将来値上がりする」として、何もない野原や山林などの土地を売りつける悪徳商法で、1970年代から1980年代にかけて社会問題化した。
「2次被害」とは、かつて原野商法で土地を購入してしまった人に対して、今にもその土地が売れるかのように信じ込ませたうえで、「売るためには測量や土地管理が必要」「売買を仲介する」などと持ちかけてサービス代金を請求するやり口だ。
被害相談は、9割以上が60代以上の高齢者からで、相談件数は2011年から急増しているという。自分や親が被害に遭わないためには、どのような点に注意すべきなのか。猪野亨弁護士に聞いた。
●親の被害防止は、日々連絡を取るところから
「被害に遭わないためにはまず、訪問販売や電話での勧誘に応じないことが『鉄則』です」
——なぜ、訪問販売・電話勧誘に気をつけるべきなの?
「被害に遭うよくある手口だからです。訪問販売や電話勧誘に共通する特徴は、『相手がどこの誰であるか、特定できない』ということです。
もし、誰か分からない相手に送金したり現金を手渡してしまった場合、だまされたと気づいても、相手が特定できず、どこにいるかもわからないため、被害回復は事実上不可能になります。
したがって、訪問や電話の相手が信用できるかどうか判断できないのであれば、その話は、即座に断らなければなりません。訪問販売ではそもそも、相手を玄関に入れてはいけません」
——そうはいっても、断るのは気が引けるし、相手の押しが強くて怖いときもある。
「『断っても、なかなか引いてくれなくて…』と言っていてはダメです。そこにつけ込まれていることを自覚する必要があります。業者はお金をだまし取ろうとしているのですから、向こう側から退散してくれるはずがありません。
——断わったりしたら嫌がらせをされたり、脅されたりするのでは?
「そこまでいけば、もう『事件』ですから、警察に対応してもらいましょう。それにもし、本当に消費者に『仕返し』の不安が少なくないのであれば、国は法律により、消費者に対する訪問販売・電話勧誘販売を禁止したり、登録制にすべき問題でしょう」
——自分はともかく、親が心配だ……。
「確かに、親の被害防止となると、なかなか困難です。訪問販売や電話勧誘を断るよう言っておくしかありませんが、一方的に強く言われれば、人によってはかえって萎縮して、被害に遭ったことを隠そうとする場合もあります。
むしろ、高齢者の場合、寂しさにつけ込まれるというケースが多々あります。まずは、親族が日々連絡をとって、寂しいという気持ちにさせないということのほうが重要です」
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
猪野 亨(いの・とおる)弁護士
今時の司法「改革」、弁護士人口激増、法科大学院制度、裁判員制度のすべてに反対する活動をしている。日々、ブログで政治的な意見を発信している。
事務所名:いの法律事務所
事務所URL:http://inotoru.dtiblog.com/