2013年08月08日 12:00 弁護士ドットコム
波乱万丈の大家族ドキュメンタリー番組「痛快!ビッグダディ」に出演していたビッグダディこと林下清志さんが、週刊誌に対して衝撃的な告白をして話題になった。
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話題のインタビューは「週刊文春」7月25日号に掲載された記事。記事によると、林下さんは最初の妻と離婚するときに揉め、妻の身内にいる「その筋の人」から大反対された。思い詰めた林下さんは「左手の小指の先を切り落とし、その身内に届けた」という。文春の記者が林下さんの左手を確認したところ、小指の爪の先に生々しい傷跡が残っていたそうだ。
さて、いくら固い決意を表明するためとはいえ、自分の小指の先を切り落として送りつけるというのは尋常ではない。林下さんは相手が「その筋の人」だったからやったと説明しているが――。切断した自分の身体の一部を送りつけるというのは、法律的に許される行為なのだろうか。冬木健太郎弁護士に聞いた。
●切断した指を見せられたら、「恐怖」を感じるのが普通
「手の指を切断する『指詰め』は、暴力団社会の中で行われる蛮行のひとつです。
指詰めは、みせしめとして強制される場合もありますし、"誠意"を表すひとつの方法として自らの意思で行う場合もあります。切断した指は、相手に対して見せたり、渡したりすることが必要と言われています」
――『指詰め』の法的な問題点は?
「自発的に指を切断すること自体は、法律で禁止されているわけではありません。しかし、たとえば指の切断を強制すれば、犯罪になります。暴力団対策法でも禁止されていますし、傷害罪や強要罪等に該当する可能性もあります。
また、切断した指を相手に見せることも、場合によっては脅迫罪などに該当する可能性があります。切断した指を見せられたら『誠意』ではなく『恐怖』を感じるのが、一般社会では普通でしょうから」
――確かに、暴力団社会と一般社会では、「指詰め」行為が持つ意味自体が大きく異なりそうだ。それでは、一般人があえて「指詰め」をして、その筋の人に見せた場合はどう考えればいいのだろうか?
「暴力団社会に属していない人が、暴力団員に切断した指を示した場合は、難しい問題だとは思いますが、その場合には暴力団員も『こいつはなにをするか分からない』と恐怖を感じるのではないでしょうか。脅迫罪等に該当する可能性は十分あると思います」
なるほど、そうなってくると外部の人間があえて「指詰め」を行うことには、百害あって一利なしということになりそうだが……。万が一そういったトラブルに巻き込まれたら、自分だけで思い悩むのではなく、即座に弁護士に相談した方が良さそうだ。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
冬木 健太郎(ふゆき・けんたろう)弁護士
横浜弁護士会所属。関東弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員。
横浜弁護士会民事介入暴力対策委員会委員。横浜弁護士会法教育委員会委員。
事務所名:冬木健太郎法律事務所
事務所URL:http://fuyuki-law.jp