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出てきた料理が「メニュー写真と全然違う!」 キャンセルは可能?

2013年07月31日 19:00  弁護士ドットコム

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ほとばしる肉汁、色鮮やかな野菜、粒の揃ったフルーツにつやつやのごはん。そんなメニュー写真に刺激されて注文したが、出てきた料理を見てがっかり。野菜や果物はしなびていて、肉は貧相、ご飯はボソボソだった――。そんな経験はないだろうか。


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ネットのレストラン口コミサイトには、そういう報告が後をたたない。また、ネット調査会社アイシェアのアンケートでは、「飲食店でメニューに写真が載っている料理を注文し、出てきた料理が写真と『悪い意味で』大きく違う見た目だったことはありますか?」という質問に「ある」と答えた人は76.9%もいたという。調査は2010年の実施で、サンプル数は約500程度だが、かなり一般的な体験といえそうだ。



では、レストランで、出てきた料理がメニュー写真と「あまりにも違う」場合、客は注文をキャンセルしたり、返金を求めてもいいのだろうか。メニューの片隅に「写真はイメージです」などと書かれている場合も多いが、この断り書きは「言い訳」として成立するのだろうか。佐々木未緒弁護士に聞いた。



●「写真はイメージです」は「これと同じものは出てきませんよ!」という意味



「メニューの写真と実際に出てきた料理の差が、単に写真とは色つやが違うだけで、お肉であることは一緒、使われている野菜やフルーツは一緒、という程度では、残念ながら注文をキャンセルしたり、返金を求めることはできません。そこは消費者の自己責任、というところでしょう」



――キャンセルや返金が認められるケースはある?



「まず、写真はお肉なのにお魚が出てきたり、写真は焼き物なのに揚げ物が出てきたり、といった場合には当然、注文をキャンセルしたり、返金してもらうことができるでしょう。ただ、こういうケースは少ないでしょうね。



もう少しありそうなケースだと、写真は10切れなのに実際は5切れとか、写真は伊勢エビなのに出てきたのは小エビ――といった、数量や素材の種類が明らかに違う場合にも、注文した内容とは異なることになるので、注文をキャンセルしたり、返金を求めることができます。



また、◯◯牛や◯◯産などのブランドを書いておきながら、実際にはそれとは違うものが出てきた場合にも、誇大表示や虚偽表示として、キャンセルすることができます。こういった例は最近、ニュースなどでもかなり話題となっていますね」



――「写真はイメージです」という断り書きについては?



「個人的な意見ですが、『写真はイメージです』という断り書きは、お店側が『これと同じものは出てきませんよ!』と明言しているわけですから、むしろ良心的ということができるのではないかと思いますよ。



最近はインターネットでの口コミ評価なども参考にすることができますので、それらを十分に吟味した上でお店を選んでみてください」



確かに、口コミサイトなどにはかなりの辛口コメントも掲載されている。2011年の正月には、商品説明の写真とあまりにも違うスカスカの「おせち」が話題となったが、客側がSNSや口コミサイトで情報を共有しているいま、「やりすぎ」なメニュー写真は、むしろ店側のイメージダウンに直結するといえるかもしれない。


(弁護士ドットコム トピックス編集部)



【取材協力弁護士】
佐々木 未緒(ささき・みお)弁護士
札幌弁護士会所属。2008年、北海道の弁護士不在地域の法律事務所へ東京から赴任し、2年間の任期を終えた後、もう東京の酷暑には耐えられないと断念して、札幌で開業。新しい人生を切り開こうと頑張る女性を応援するバツ3のリアル離婚弁護士。
事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com