2013年07月25日 14:51 弁護士ドットコム
連日、全国各地で猛暑日の続くこの夏。空調の効いたファミレスは格好の”避暑地”となっている。
【関連記事:カフェに居座る「迷惑客」 店に頼んで追い出してもらえるか?】
おしゃべりや読書、打ち合わせなどで、長時間ファミレスを利用するとき便利なのが「ドリンクバー」だ。ファミレスでは通常、時間制限は設けられていないため、何杯でも飲み物をおかわりしながら長居ができる。だが本来、レストランは食事をするところだ。それ以外何も注文しないで、ずっと席を占拠されたら、店にとっては打撃だろう。
はたして客は、どれぐらいの時間、ドリンクバーで居座ることができるのだろうか。また、度がすぎる場合には、店側が客を追い出すこともできるのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。
●店長に「出ていけ」と言われたのに居座れば「不退去罪」になる
「基本的には、ドリンクバーの注文のみでも、長時間ファミレスに居続けることはできると考えます。
ドリンクバーの料金の中には、飲み物の料金だけでなく、一定の客席・テーブルやトイレなど、店の設備を利用する対価も含まれていると考えられます。
特にドリンクバーの料金は料理と違い、『場所代』としての意味合いが強いと言えるでしょう。閉店時間までずっと居続けても、過度に長いとは言えないと思います」
――では、限度はない?
「限度はあります。たとえば24時間営業の店舗などでは、何日も居続けられるとファミレス側も困りますよね。
そのように極端な場合は、店側も退去を求めると思われます。そして、もし店長が退去を求めたにもかかわらず居続ければ、不退去罪(刑法130条後段、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)に当たる可能性があります。
また、たとえば居続けることで悪臭を放つようになり、そのせいで他の客が入らなくなったような場合であれば、ファミレスの営業を妨害したとして、損害賠償(民法709条)が請求される可能性があります」
どうやら法律的には、「何時間以上ならアウト」という、具体的な線引きはないようだ。しかし、もし万が一、店長に「出ていけ」と言われてしまったら——。店側がそんなことを言い出すのはよほどの場合だ。真剣に受け止めて、おとなしく従っておくべきだろう。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
沖縄県那覇市において、でいご法律事務所を運営。
平成25年度沖縄弁護士会理事。同年度沖縄県包括外部監査補助者。経営革新等支援機関。
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/