2013年07月22日 12:01 弁護士ドットコム
改正ストーカー規制法が6月、成立した。この改正で、「メール」を繰り返し送ることも「つきまとい」の一種とみなされ、新たに取り締まりの対象となった。
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報道によると、改正のきっかけは、昨年11月、神奈川県逗子市でフリーデザイナーの女性が殺害された事件。被害者は元交際相手の男性から20日間で1000通を超える「いやがらせメール」を受け取り、警察にも相談していた。そういった事情があったにも関わらず、殺害されてしまったことで、法の不備を指摘する声が高まった。
ただ、今回新たに「つきまとい行為」となったのは電子メールだけだ。最近盛んなソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は引き続き、規制の対象外で、今後の検討課題とされている。この改正、弁護士はどうみているのだろうか。ストーカー被害にくわしい近藤公人弁護士に聞いた。
●改正内容は不十分で、SNSも対象にすべきだった
「『つきまとい』、それ自体も重大な犯罪です。ただ、ストーカー規制法の目的はそもそも、男女関係のトラブルをきっかけとした悲惨な事件を回避しようというものでした。つきまとい行為が、重大事件の前兆となっている点に着目し、つきまとい自体を規制することで、その後に起きていたかもしれない事件の芽を摘もうという狙いです。
したがって、被害者の立場からすると、加害者のいやがらせ行為すべてを規制の対象にすべきです。電子メールであろうが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であろうが、そこに記載されている内容が嫌がらせであれば、すべて対象にすべきでしょう」
――なぜ、電子メールやSNSは対象外だった?
「もともと、改正前のストーカー規制法では、加害者のいやがらせ行為が被害者に到達する場合のみを『つきまとい』としていました。
今回SNSが対象外とされた背景はわかりませんが、SNSでのメッセージ送信については色々な形式があるため、加害者の書き込みが確実に被害者に到達する可能性が、電子メールよりも低いと見積もられたのかもしれません」
――今後、SNSでのつきまとい行為は、見過ごされる?
「いいえ。確かにストーカー規制法の対象ではありませんが、SNSのメッセージが記載されている内容が、脅迫行為に該当するのであれば脅迫罪で、被害者の名誉を毀損している内容であれば名誉毀損罪で対応できます。
被害者としては、SNSでの証拠を残しておき、脅迫行為や名誉毀損行為で処罰することができないか、警察と相談することになるでしょう」
すでに若者たちの間では、SNSはメールや電話と同等以上の主要な連絡手段となっている。このほどの「ネット選挙解禁」などをうけて、法について議論する政治家や官僚がその重要性に気づいてくれると良いのだが・・・・。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://www.shigadaiichi.com/