2013年07月13日 13:30 弁護士ドットコム
まもなく夏休み。旅行やスポーツなど休みを満喫しようと計画している人も多いと思うが、就職活動を控えた学生にとって、夏は「インターンシップの時期」でもある。
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インターンシップは、学生が企業などで「就業体験」をする制度。基本的には社会勉強の一種とされていて、大学などが仲介して、学生を企業に送り出すケースも多い。しかし、その実態はさまざまで、企業が優秀な学生を「青田買い」するため、採用の一環として実施する例もある。また、期間も数時間から、長いと3か月に及び、報酬もあったりなかったりのようだ。
長期インターンシップの中には、社員と同じように働かされているのに、無報酬というケースもあるようだ。「教育体験」と「労働」の間には、どんな線引きがあるのだろうか。また、インターン生を「無給」で働かせることに、法的問題はないのだろうか。労働問題にくわしい水嶋一途弁護士に聞いた。
●インターン生も「労働者」と見なされる場合がある
「インターンシップは『学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと』と定義されています。
しかし、名目が『就業体験』であっても、実際にやっている内容によっては、インターン生が労働基準法上の『労働者』とみなされて、労働基準法や最低賃金法等の労働関係諸法令が適用される場合があります」
――つまり、インターン生が「労働者」だと見なされれば、無給は許されない?
「そうですね。その場合、企業は、インターン生に対して適正な金額の賃金支払義務があります。無給はもとより、最低賃金以下の賃金で働かせることは違法になります」
――では、どんなことに当てはまれば、インターン生が「労働者」とみなされる?
「詳しくは、行政通達(旧労働省平成9年9月18日基発第636号)に定められていますが、要約すると、以下の2点などの総合判断で決まります。
(1)使用者(企業)とインターン生との間に、実質的な指揮命令関係があるかないか
(2)インターン生の作業によって得られる利益・効果が、使用者(企業)に帰属しているかどうか」
――結論としては?
「もう少しかみ砕いてまとめると、『企業などがインターン生に命令して作業をさせ、インターン生の仕事で利益・効果を上げているのであれば、その働きに対する報酬はきっちりと支払わなくてはならない』ということですね。受入企業もインターン生も、このことは留意しておく必要があるでしょう」
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
水嶋 一途(みずしま・かずみち)弁護士
一途総合法律事務所 代表弁護士。ゼネコン勤務(人事担当)を経て弁護士に転身。上場企業や中小・ベンチャー企業の法務や事業再生案件を数多く手がけるほか、離婚、相続など個人の身近な相談も積極的に取り扱う。
事務所名:一途総合法律事務所
事務所URL:http://www.ichizulaw.com/