2013年07月10日 15:20 弁護士ドットコム
テレビショッピングから人気に火がついたお掃除ロボット「ルンバ」。ネットでは、海外業者から直輸入した「並行輸入品」も販売されている。そちらのほうが、国内正規品より割安価格なのだ。しかし、産経新聞の報道によれば、並行輸入のルンバを使うと、電波法違反でルンバ使用者が罰せられるおそれがあるという。
【関連記事:ローラさんの父に出された「赤手配」 海外容疑者を追う「国際指名手配」とは何か?】
その理由は、ルンバには付属機器と交信するための無線機能がついているが、その無線電波の合法性を証明する「技適マーク」が、海外仕様の並行輸入品にはないためだ。この技適マークがないという問題は、海外で購入したiPadやスマホでも同様だ。
この技適マークがついていない無線機については、総務省のホームページでも、「電波法違反になる場合があります」と注意をよびかけている。海外仕様のルンバを使うと、どんな罰を受けるのか。また、外国で買ったiPadやスマホなどを国内で使っていたらどうなるのか、南部朋子弁護士に解説してもらった。
●海外仕様ルンバの使用は「不法無線局の開設」にあたる可能性あり
海外仕様のルンバを使用することについて、電波法上つぎのような問題点があると、南部弁護士は解説する。
「電波法により、電波を送信または受信するための電気的設備(無線設備といいます)を操作する場合には、原則として総務大臣の免許(無線局の開設の免許)が必要とされています。
技適マークの表示された無線設備の使用が、免許の要件になっていたり、例外的に免許不要とされる場合の要件となっていたりするので、技適マークが表示されていない無線設備を使った場合、『無線局の開設の免許が必要なのに取得していないで無線局を開設した』事態(不法無線局の開設)となっているおそれがあります。このような不法無線局の開設行為については、電波法上、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則があります。
よって、技適マークの表示されていない海外仕様のルンバを使った場合には、『不法無線局の開設』をしたものとして処罰の対象となりえます」
すなわち、免許なく無線局を開設したとして、電波法に抵触する恐れがあるということだ。しかし、これには例外もあるという。
「無線設備に技適マークが表示されているか否かにかかわらず、電波法上、『発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの』の開設には免許は不要です。技適マークの表示されていない海外仕様のルンバの使用が、この例外にあたるかどうかは、電波法施行規則で決められたとおりに電界強度を測定してみないと、わかりません」
●外国購入のiPadやスマホの使用にもリスクがある
さらに、南部弁護士は、外国で購入したiPadやスマホについても、同様の問題点があると指摘する。
「一概にはいえないのですが、技適マークが確認できなければ、そのiPadやスマホを使うことが『不法無線局の開設』に該当する可能性があります。技適マークは、端末の設定画面で確認できることもありますので、チェックしてみてください」
海外仕様のルンバ等を使用するだけで「免許なく無線局を開設したこと」になりえるのは驚きだが、処罰される可能性もあるのだから、平素より技適マークの確認を行う必要がありそうだ。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
南部 朋子(なんぶ・ともこ)弁護士
著作権法、商標法など知的財産法や国際取引をめぐる法律問題を担当している。ロボットをめぐる法律問題についても研究中。主な著書に『「図解入門ビジネス 最新 著作権の基本と仕組みがよ~くわかる本(第2版)(秀和システム)(共著)』。
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/