2013年06月13日 16:31 弁護士ドットコム
恋人だと思っていたら実は詐欺師だった――。SNSで知り合った異性をデートに誘い出して、高額商品を売りつける「デート商法」をおこなったとして、大阪市のソフトウェア販売会社社長など男女13人が詐欺容疑で逮捕された。
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報道によると、逮捕容疑は、2011年から12年にかけて、大阪府や兵庫県に住む20代の男女10人をデートに誘い出し、「必ずもうかる」とだまして1本約100万の投資用ソフトを購入させたというもの。大阪府警の捜査によると、被害者はさらに18府県の約1000人もいて、被害総額は9億円を超えるとみられるという。
「このソフトを使えば必ずもうかる」。そんなうまい話があるわけないと思っていても、好意を抱いている異性の言葉だとつい信じてしまう。そんな人間の心理につけこむのがデート商法の狙いだ。このような「甘い罠」に引っかかってしまった場合、どのように対処したらよいのだろうか。商品を購入するために渡したお金は返ってくるのだろうか。消費者被害に詳しい石井龍一弁護士に聞いた。
●泣き寝入りする必要はない。クーリングオフや訴訟で対抗できることも
「まず、クーリングオフができないか、検討すべきです。クーリングオフは、一定の期間内(多くは契約書面受領後8日以内)であれば、無条件に契約をなかったことにできる制度です。具体的にどんなケースに適用されるかは、通販・訪問販売といった販売形態や、商品の種類などによって異なります。法律で細かく決まっていますので、制度が適用されるかどうかを、弁護士などの専門家に聞くべきでしょう。
なお、『デート商法』の業者は、契約後も、クーリングオフ期間が過ぎるまでは、デートを続けて気付かせないようにするなど巧妙な手口を使いますから、注意が必要です」
では、クーリングオフがダメだった場合、どうすればいいのか。
「期間が過ぎてしまったり、そもそもクーリングオフの適用されない契約だった場合にも、やりようはあります。たとえば、契約が『詐欺だ』『公序良俗に反する』などと訴えれば、契約の取り消しや無効が裁判所に認められる場合もあります」
つまり、「泣き寝入り」はしなくてもいい。専門家の助力があれば、お金を取り返せる可能性はあるということだ。では、そもそも「デート商法」に引っかからないためのコツはあるのだろうか。
「冷静な判断力を養うしかないですね。デート商法は、恋愛感情や好意を抱かせて、勧誘を断り切れない心理をつくりだし、それを利用する手口です。だまされないための第一歩は、相手が好きだという恋愛感情と、商品を購入するかどうかの判断を切り離すことでしょう。『勧められた商品が自分にとって必要か』という問題は、『誰に勧められたか』とは、本来まったく関係ありませんから」
相手はプロだから、「だまされるな」というのは酷な話かもしれない。それでも、相手の態度・行動にちょっとでもおかしな点を感じたら、石井弁護士のアドバイスを思い出して、勇気を持って「必要ない」と言ってほしい。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
石井 龍一(いしい・りゅういち)弁護士
兵庫県弁護士会所属 甲南大学法学部非常勤講師
事務所名:石井法律事務所