「会社の歯車として働き続けるのは嫌」…そんな風に考えたことはない? 確かに日本人全体の平均収入が減っている今、「大した給料をもらっているわけでもないのに、仕事量ばかりが増えていく」と思っている人は多いのかも。
働く女性のアドバイザー的存在として数多くの著書を出している有川真由美さんは「どんな立場の人も働いている人はみな、社会の歯車の一部」と話す。
「ひとりでできる仕事は、世の中には存在しません。たとえ大きな売り上げを上げていなくても『笑顔で人を癒せる』『縁の下の力持ちになれる』『チームをまとめることができる』といったことも、歯車としての大きな役割です」(同)
社会の歯車であるということは、自分の存在が「社会から必要とされている」「役に立っている」「喜ばれている」ということ。それはつまり、自分の存在価値が認められているということであり、収入を得ることとはまた違った満足感につながるもの。そんな満足感が得られれば、「働かなければ」という受け身の姿勢ではなく、もっと貢献したい、喜ばれたいという思いから「働きたい」という姿勢で仕事に取り組めるようになり、社会人としての成長にもつながっていく。
「そうしたことに気づかず、『私はどうせ小さな歯車だから』といった意識で仕事をしていると、実際の周囲への貢献度も低くなり、いずれ歯車としても役に立たたない存在とみなされてしまう危険性があります。逆に『せっかくだから立派な歯車になろう』と思える人は、やがてかけがえのない存在となり、周囲の人からの評価も高くなるものです」(同)
その場に必要な存在であろうとすれば、一つひとつの仕事を丁寧にこなすようになり、結果的にキャリアアップにもつながっていく。もし、自分という歯車がうまくかみ合っていないな…と感じていても、立派な歯車になろうと仕事のスキルやコミュニケーション能力などを磨いていけば、いつか歯車がかみ合い、必要とされる場が見つかるもの。
社会の中で「自分が役に立っている」と実感できることは、生きていくための大きな原動力になるのでは? 「働くことで得られるのは収入だけではない」と気づくことができれば、明日からもっと仕事に積極的になれるはず!
有川真由美作家・写真家。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、新聞社編集者など多くの転職経験をもち、マナー講習指導、新人教育の経験から、働く女性のアドバイザー的存在として書籍や雑誌などで活躍中。旅行作家としても台湾を中心に約40カ国を旅し、エッセイやドキュメンタリーを執筆する。『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』『10年先を考える女(ひと)は、うまくいく』(以上PHP研究所)、『よわむしの生き方―必要な人になる50のルール』(きずな出版)など、著書多数。【オズモール】