2013年05月29日 12:30 弁護士ドットコム
全国各地で「ゆるキャラ」ブームが依然続くなか、千葉県船橋市の非公認キャラ「ふなっしー」が注目を集めている。
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ふなっしーは船橋在住のデザイナーが2011年に作成したキャラで、市の名産品の梨がモチーフだ。ゆるキャラらしからぬ俊敏な動きと、着ぐるみなのに喋る、しかも毒舌という個性が人気で、テレビ番組やCM、イベントなどに多数出演。ふなっしーグッズも飛ぶように売れているという。
市には、公認キャラとして「汗一平くん」「船えもん」などがいるが、ふなっしーはそれらを上回る活躍ぶりだ。作者側も公認キャラになれないものかと、市に掛け合ってみたものの、キャラの言動などがネックで実現には至らなかった模様だ。
そもそも、ふなっしーは「非公認」ということから分かるように、船橋市に断りなく作られたキャラだ。このように「ご当地キャラ」を自治体に無断で作って、独自に活動するのは法的に問題ないのだろうか。商標問題に詳しい南部朋子弁護士に聞いた。
●公認されていないのに「◯◯市公認」と表示したらアウト
「ある地域をイメージして、キャラクターを作成すること自体は、法的に問題ありません。また、そのキャラクターが、ある地域をイメージして作成されたものであることを外部に表示することも、同様に作成者の自由です」
南部弁護士は明快にこう答える。たが、宣伝の手法などによっては、問題が生じるケースもあるという。
「例えば、本当は公認されていないのに『◯◯市公認』と偽って、キャラクターグッズの販売をしたり出演料をもらって番組やイベントに出演したりするような場合です。商品やサービスの内容について、取引の相手に誤認させるような表示をしてはいけないと、不正競争防止法によって定められているからです」
では、「ふなっしー」はどうか。
「ふなっしーは明確に『船橋市非公認』と表示しているようですので、少なくともこの点に関しては、法的に問題がないと言えます」
南部弁護士はこう述べたうえで、「船橋市の非公認キャラクターとして独自の活動を続けるにあたっては、今後も『公認だとの誤解をされないような宣伝活動』をすることが重要だと思われます」と話していた。
どんどん増えている「ご当地キャラ」。ふなっしーの例を見れば、公認でも非公認でも人気が出るときは出るということがわかる。作成や宣伝に関わる人たちは、このアドバイスを肝に銘じて「明確な表示」を心がけてほしいものだ。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
南部 朋子(なんぶ・ともこ)弁護士
著作権法、商標法など知的財産法や国際取引をめぐる法律問題を担当している。ロボットをめぐる法律問題についても研究中。主な著書に『「図解入門ビジネス 最新 著作権の基本と仕組みがよ~くわかる本(第2版)(秀和システム)(共著)』。
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/