新年度が始まって1カ月が過ぎ、疲れが出たり、コミュニケーションに悩んだりする頃。「もっと話術があればコミュニケーションがうまくいくのに…」なんて思う人もいるかも。スピーチコンサルタントの村松加王里さんは「話術に頼らなくても会話を楽しいものにすることはできる」と話す。
「“しゃべり”は数あるコミュニケーションの手段の中のほんの一部でしかありません。まずは『コミュニケーション能力を向上させるには話術が必要』という思い込みから抜け出すことが大切です」(同)
会話に苦手意識がある人は、特にあまりよく知らない相手との雑談が苦手なもの。ひとつの話題が終わると、次はなにを話そうかと頭の中でぐるぐる考えているうちに、気まずい沈黙が流れていく…ということも。村松さんによると、そんなときは新しい話題を見つけなくても、相手にしゃべらせる方法があるのだそう。相手にしゃべらせるための2つのステップは、次の通り。
ステップ1
まずは相手のしぐさに注目し、それと同じことをそっとまねてみることから始めてみて。例えば相手が脚を組んだら自分も組む、コーヒーを飲んだら自分も飲むなど。心理学では「ミラーリング」といって、同じ行動やしぐさをすると、人は好意や安心感を得られることがわかっている。このため、相手との距離感がグッと縮まり、コミュニケーションが深まるというわけ。さらに口調や話すペースを相手に合わせるとより効果的に。
ステップ2
ステップ1で相手との距離を縮めたら、次は相手の言葉をまねしてみよう。例えば次のような会話を参考にして。
相手「今日はすごくハードな1日で疲れました」
自分「そんなにハードな1日だったんですか?」
相手「そうなんです。お昼も食べていないから余計に疲れてしまって」
自分「お昼抜きだと疲れますよね~」
無理に自分の話を入れ込むことはせずに、相手の言葉をまねるだけでOK。ステップ1の「ミラーリング」ですでに相手との距離は縮まっているので、新たな話題を探さなくてもひとつの話題が広がり、話が盛り上がっていくというわけ。
相手のしぐさや言葉をまねするだけなので、簡単にとり入れられるはず。雑談に苦手意識がある人は、ぜひ実践してみて!
村松加王里スピーチコンサルタント。テレビ番組のキャスターやリポーターとして幅広く活動。そのかたわら「話し方と伝え方」講師として、研修や講演を行うほか、テレビや雑誌などで活躍している。著書に『しゃべらない会話術。』(青月社)がある。【オズモール】